こたつむりへ(加藤法子より)
vol. 23 2016-04-19 0
でんでん
ぐびぐび
こたつむりぃ〜♪
おまえの寝床はどこにある〜
酒だせ 春かぜ おちょこだせ〜♩♩♩
夜分にひっそり……はじめまして。
私が生きてきた中で特別な体験が始まっているとふつふつ感じます。
『こたつむり』の脚本を書いた加藤法子と申します。
今回、作品に対してさまざまな方々に心をかけて頂きました。本当に嬉しいです。大変感謝しています。
クラウドファンディングも残すところ、あとちょっと。
作品の完成を一緒に見届けていただければ幸いです。
『こたつむり』がいっぱいいっぱい愛される作品となりますように。
さてさて、今夜はなんのお話しをしましょう……。
まずは私が小学二年生の夏に遡ってみたいと思います。
『こたつむり』というタイトル、実は私が小学二年生の時に書いた絵本のなまえ。
殻が「こたつ」になってしまったカタツムリ二匹がのーろのろ、でっかい世界を旅する冒険記。
私が物語をつくった処女作と言えると思います。
今はたしか実家の押入れに眠っているはず。
そして月日は流れ……いろんなことがあったような、なかったような。
2016年1月——————。
新藤監督に初めて遭遇した日。渋谷のハチ公前でした。
とっても重そうなカメラと機材を肩にかけた小さな女が現れて。
(タフなヤツだと確信しました。)
その夜、新藤監督から「こたつとくっつく女の子のお話がやりたい」と話を頂きました。
これは私しか書けないと思いました。前のめりになって話を聞いた。
そして書いた1枚の企画書に『こたつむり』と私は名付けました。
(16年前のカタツムリの冒険記が、居酒屋のこたつ席で女の子がこたつとくっつくお話になりましたよ)
この作品は女の子の心と身体を、ヘンテコだけど正直に考えて作ったものがたりです。
昨年の私の実体験も交えながらお話を紡いでいきました。
私は脚本を書く際はいつも、人間、特に「女性」を正直に描きたいと思っています。
女の子の心と身体を正直に描きたい——————。
私が新藤監督と一緒に創りたいという強い動機、衝動のようなもの。
彼女が生み出す女性、彼女の女性の描き方に私は共感しています。
だって、彼女の映画に出てくる女の子たちがみんな素直なんです。
人間らしくて、感覚的で。心と身体が踊り出すような。
新藤監督の映画に出てくる女の子たちはほんとに愛おしい。
だから、私は新藤監督に魅かれました。
一緒に作りたい、私の脚本を彼女の目で素直に撮って欲しい。
そう思ったんです。
人間って複雑だから。だから描き続けたいし、人間をまるっとあたたかさで包み込みたい。
私が脚本を書き続けたいと思うのは、人間が大好きだからです。
優しい人になりたいからです。
向田邦子になりたい、和田夏十になりたい、野田高悟に憧れ続けてはいるけれど。
それ以上に人間を包み込めるようなものが書けたら本望です。
新藤監督の感性と私が23年生きてきた身体がどう重なるのか。
この機会、見届けてください。
新藤監督へ。
私の脚本を撮影してくれてありがとう。
あったかい作品にしようね。
私ね、感情的なあなたが大好き。
◎おまけ◎
『こたつむり』の脚本は勿論、言わずもがなこたつで書いています。
さむざむしい冬。脚本を書くときは大体こたつとくっついて書き上げます。
自分で言うのもなんだけど、こたつで書くとあったかいのが出来上がるんです。
読んでくれてありがとうございます。
おやすみなさい。
脚本の加藤法子