カメラマン上野陸生よりメッセージ
vol. 18 2016-04-17 0
こんにちは。
撮影の上野陸生です。
まずは、『こたつむり』を支援してくださっているみなさま、ありがとうございます。
そして、ふと『こたつむり』を目に留めていただいたみなさま、この作品に興味を持っていただければ幸いです。
この作品に参加するきっかけは、監督の新藤さんに声をかけてもらったためです。
というのも、早稲田大学時代のサークルの先輩後輩という関係で何本も一緒に映画を作ってきたということがあります。
〈作品歴〉
『喪服の下のうずき』監督 上野陸生 撮影 新藤早代(2013)
『染朝』監督・撮影 新藤早代 企画 上野陸生(2014)
『蒲団』監督 上野陸生 撮影 新藤早代(2014)
『おにぎりむすめ』監督 新藤早代 撮影 上野陸生(2015)
『愉快じゃない』監督 新藤早代 撮影 上野陸生(2015)
そして脚本は、僕が今通う東京芸大大学院の同期である加藤法子さんにお願いしたいということで、監督・撮影・脚本3人で企画を進めたのがこの作品の始まりでした。
3人の共通の目標は、「誰もが楽しめて、面白いと感じられる作品を作る」ということ。これは当たり前のことですがとても難しいことでもある、という認識がそれぞれにありました。
ここで、本作が面白くなると思っている点についてお話しします。
まず監督の映画の見方や演出への姿勢ですが、とにかく人間を見ています。役者さんを役者としてではなく、作品の世界のなかで生きる1人の人へと如何に近付けるかということを考えているのではないでしょうか。
これは生半可にできることではありませんが、そういう力強い演出が人を生き生きと描くという、新藤さんの作品を通して言える作風へ繋がっていると思います。
また加藤さんの脚本は、人の日常に潜む、誰もが経験したことのあるような感情の微妙な揺れ動きが非常に上手く描かれていると思います。
静かにドキッとさせられることが魅力です。
この2人の表現は、僕が作りたい、目指したいと思う映画ととても近いのです。そういう要素がこの作品にはたくさん詰まっています。
また他のスタッフも、監督や脚本に面白さを見出し、あるいは感覚が合っていて、それぞれの持つ発想が良い方向へと動いています。この面も作品を作り上げる上での強みになっていると思います。
カメラマンとして、この作品では役者との距離を意識しています。
距離と一口に言っても、役者とカメラの物理的な距離もあれば、観客の目線としての距離感もあります。
役者に寄り添ったほうがいいのか、それとも客観的に見せるのかといったことを各シーン各カット毎に考え、さらには主観でも客観でもない、作品の世界に観客が自然と入り込める距離感を模索しながら撮影しています。
また、「暖かさ」と「柔らかさ」も意図しながら撮影しています。ファンタジーというジャンルを意識しながら、「こたつむり」の世界が何か優しいものに包まれているような印象を持たせています。
そして今回の撮影を通して、自分の撮影スタイルを確立させることが目標です。その面でも自分の中で大きな作品にできればと思っています。
クラウドファンディングも残り10日を切り、その後の追撮も控えています。
作品完成までまだ時間がかかりますが、じっくりお待ちいただき、ご支援いただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
上野陸生
〈撮影 上野陸生 プロフィール〉
上野陸生(うえのりくお)
早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。大学在籍中、自主映画制作サークル「CINEMAX SIDEVARG」に所属し、自主映画の監督、撮影を行う。
現在、東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻 撮影照明領域にて、カメラマンの柳島克己氏に師事している。