カバーデザインを手がけた植地毅さんからの応援コメントです!
vol. 1 2021-12-18 0
『猪の鹿お蝶』は凡天劇画会10年間の活動における集大成です。今回も劇画会よりカバーデザインを依頼されたことは、大変に名誉であり、自分としてもこれまでで最高のデザインに仕上げるべく奮闘しました。思い起こ せば2011年末に結成されたばかりの凡天劇画会からお声がけをいただき、矢継ぎ早に『怪奇篇』と『不良少女篇』、そして『混血児リカ』復刊ポスターのデザインを送り出しました。
デザイナーとしても漫画マニアとしても、凡天太郎という偉大なるアーティストの作品に直接触れ、書籍として新たな魂を吹き込むという作業は非常にエキサイティングであり、同時に大変勉強になり大いに刺激を受けました。
装丁デザイン3作目となる『ブラックプロファイター・タケル』から、劇画会からの提案で「もし連載当時に単行本化されていたら?」という、既存のレーベルによる刊行物のイメージに極力近づける「IFの世界のコミックス」というコンセプトを導入し、『忍法無惨伝』『美しき復讐』『おんな刺青師ルリ』の装丁デザインを担当させていただきました。また、劇画会によるマーチャンダイジングのアイテムとして、『混血児リカ』の扉絵をモチーフにした「最初の家出」Tシャツのデザインと製作、劇画会ピンバッヂなどの特典アイテム、映画『刺青』のリターンアイテム限定Tシャツなど書籍以外にも多岐わたるデザイン仕事にも関わることができました。劇画会のリリースした凡天作品の数々は、自分にとっても人生の上で重要なマイルストーンとなっています。
今回の装丁デザインは「映画公開時である70年代前半頃に、もしもあのレーベルから単行本化されていたら?」という劇画会からの提案で、本作の総集編を発行した芸文社による「芸文コミックス」をモチーフとしています。しかし元ネタに似せるだけではパロディの枠を越えられません。やるなら徹底的にやると決めて、まずデザインするうえでの意識を50年前の芸文社の装丁デザイナーの脳内にチャネリングし、細部に至るまで完璧な芸文風味の再現を試みました。カラーリングも、当時の家電製品や雑貨などに好んで使われた色合いを探り、あえてベタで派手な色彩を選び、実写映画版ポスターの配色も取り込んで70年代風味のサイケ感を表現しました。ちなみに芸文コミックスの単行本シリーズは、装丁のフォーマットがイマイチ統一されていないため、「らしさ」を醸し出すのは結構難儀しましたね。その苦労の甲斐あって、今回のコミックスも他の作品と同様に「同じレーベルの単行本の並びに加えると、このうえない存在感を発揮する」と自負しています。
ぜひ1人でも多くの方にこの『猪の鹿お蝶』のコミックスを手に取って、炸裂するピンキー・バイオレンスな世界観を堪能していただきたい所存です。
ファンディングの成功を心より祈っております。皆さんのお力添えのほど、よろしくお願いします!
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