インターナショナル・エディション、完成へ!
vol. 30 2022-09-14 0
随分間が空いてしまいました。猛暑の夏、いかがお過ごしだったでしょうか? 最近の「杜人」の旅は、こんなふうです。
https://lingkaranfilms.com/?p=1951
途中で思わぬ心配事(山口の実家に暮らす母の緊急入院)が降ってきて、いのちの重さを噛み締めることになりました。
「いのちは常に 生と死の ギリギリの鬩ぎ合いの上に立っている」
仙台の現場で移植した30本のうち、根づいたのは15本。15本は残念ながら立ち枯れました。それでも、その姿は美しく、他の植物に空気の道を残し、新たないのちが息をしやすい環境をつくり出しています。何度も編集をやり直すうちに、最終的に削り落としたシーンは、そんな状況を撮ったものでした。
野生動物がそうであるように、明日のいのちがわからないのが自然界。人間だけが安心を手に入れようと、他の生きものの邪魔をしてきてしまった。
「生きていることの本質は不安定。不安定だからこそ、過不足調整する動きがでてくる。安定してしまったら、それは停止。停止とは、死の世界」
急傾斜の敷地に水脈を通し、植栽土木を施した現場に、何本もの木杭が並んでいるのを見て、矢野さんが言ったひと言。歩きやすいように、とS字の道に木杭を打ったスタッフは、当たり前のことをしたのだと思いますが、それだと全体のバランスが保たれない、と。
私たち人間はそうやって人間にとっての安心を求めすぎた。その結果が、世界的に不安定な気候と激甚な災害をもたらしているような気がします。
さて、近況報告です。ストレッチ・ゴールに掲げた英語字幕をつけたインターナショナル・エディションが、完成に向かっています。
字幕の下訳をお願いしたのは、Kana Koa Weaverさん。6月上旬に封切り前後は慌し過ぎて何も手がつかず、6月中旬になってようやくKanaさんの訳を字幕専門の方にお渡しして依頼しました。それから2回、3回、やり取りを繰り返し、現在、正式な書き出しの最終段階に入っています。
正直に言って、海外の映画祭で受け入れてもらえるような映画としてのクオリティには、決して達していないと思っています。それでも、矢野さんの視点、手法、それ以上に、生きとし生けるすべてのものとの共生を望む強い意志を、日本国内にとどまらず、世界に届けられたらと思います。拙くても、いのちの有り様を、未来のいのちのために、伝えられたら。
英語字幕を付けたら終わりではなく、映画祭へのエントリーは、すべてを翻訳しないといけません。この作業が大変で、このところずっと頭を抱えていました。でも、なんとか、山は乗り越えた気がします。
そして、エンドレス・ゴールの「チルドレンズ・エディション」。早くもあちこちから応援、期待をいただいていますが、本編以上にハードルが高そう。時間はかかるかもしれませんが、必ず完成させますので、待っていてください。遅れている「大地の再生の視点と手法」特別編集DVDも、申し訳ありませんが、もうしばらく、お待ちいただければ幸いです。
どうぞ、引き続き、よろしくお願いいたします!
2022.9.14 前田せつ子