林版 白雪姫
vol. 12 2020-11-22 0
今日は、稽古オフ。
久々に朝ゆっくりと長めにベッドの中にいました。
でもやっぱり、頭の中では『SHADOWS』がグルグルするので、休んだ感はないです。これはおそらく、来年までずっと続くのでしょう。またコロナさんも元気になってきたようだし、気が抜けませんから。
さて今日は、『SHADOWS』の前身となった『林版 白雪姫』の後編をシェアいたします!
せっかくなので、先日シェアした前編も併せてアップしておきますね。
これを書くにあたり、西洋占星術、錬金術の本や資料を漁りました。でもめちゃくちゃに奥が深すぎて…僕が得た知識なんて、舐めた程度といったところでしょうか。なので、想像力という名の創作も混ぜ込んで書きました。
さて、調べているうちに、興味深いことにぶち当たりました。
『白雪姫』の物語自体が、賢者の石のレシピなんじゃないか?と。これは、『グリム童話 冥府への旅』(白水社)という本で、著者の高橋吉文さんが書いてらしたことなので、僕が発見したことではありません。
賢者の石って聞いたことありますよね?
ハリーポッターシリーズのサブタイトルにもなっている、アレです。錬金術とは、読んで字の如く、卑金属を完全なるモノ=貴金属に変える術のこと。その偉大なる作業に必要なアイテムが、“賢者の石”なわけです。つまり、黄金を作るには、まず賢者の石を作らなきゃならない。
錬金術の本を開き、賢者の石の作り方の章を読んでみても、暗号めいた言葉と荒唐無稽な図解が並ぶばかりで、ちんぷんかんぷんの極みです。でもね、ようくそれらを眺めていると、『白雪姫』の物語ととても似ていることに気づきます。
賢者の石は、「黒→白→赤」の順に変容していく。これはまさに白雪姫の「黒檀のように黒い髪、雪のように白い肌、血のように赤い唇」に対応している。
そして、おとぎ話とはいえ、3度も死んでは復活を繰り返す白雪姫。賢者の石のレシピにも、死からの復活という工程があります。さらに、死体をガラスの棺(フラスコ)に入れるという描写も!『白雪姫』では、毒林檎で殺された白雪姫を小人たちは何故かガラスの棺に入れるんですよ。
これだけ聞いてみても、「おお〜〜〜」ってなりません?
黒、白、赤の3色
白雪姫は3度死ぬ
白雪姫は7歳
7人の小人
などなど……
どうやら「3」と「7」がキーのようです。
ワクワクが止まらなくないですか?
『林版 白雪姫』では、7人の小人(孤人)の名前に、錬金術の7つの金属、金(クリューソス)、銀(アルギュロス)、水銀(エルミス)、錫(カシテロス)、鉛(モリュブドス)、銅(カルコス)鉄(シデーロス)を充てました。それらはそれぞれ、占星術の7つの惑星、太陽、月、水星、木星、土星、金星、火星、と対応しています。
プロローグとエピローグの死刑囚の名前、「シデーロス・ヴァルカン」なんです。
物語中の最年少の孤人シデーロスは、彼自身です。
で、死刑囚のシデーロスは、物語の中ではクリューソスとして自分を登場させている、という設定だとしたら……?ちょっと面白くないですか?
さらに、ギリシャ神話も織り込んだ『林版 白雪姫』(女王メデューサ説も先述の高橋さんの著書よりヒントを得ました)ですが、それをベースに、19世紀イギリスのとある牢獄を舞台に繰り広げようというのが、
『SHADOWS』
という芝居なのです。
『SHADOWS』は、そんな『林版 白雪姫』を下敷きにしていますが、全くの別モノです。ネタバレなど気にせず、どうぞ安心して『林版 白雪姫』をお楽しみください。
あ、そうそう。
ペルセウスに縁が深いことからその名前がついた国がありました。それは…
ペルシャ
僕は、白雪姫はドイツではなく、ペルシャの話ではないかと睨んでいるんです。
MADALAーBA
林勇輔