介護分野の仕事に携わることになったきっかけ
vol. 77 2020-03-24 0
大崎下島に来た経緯はプロジェクト本文に書きましたので、本日は、介護分野に携わることになった二つのきっかけをお話したいと思います。これはまだ私が長野県にいた頃の話です。
一つは、2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻が発端となった世界金融危機です。実家は金型や機械部品の製造を生業としており、20代はモノづくりに励んでいました。
いわゆる町工場で、そこには私を含む兄弟と従業員の方々が働き、ゼロから会社を立ちあげたのが社長である父親でした。
テレビをつけると毎日のように株価が下がっていく様子が映され、日に日に仕事が減っていくのを目の当たりにしました。その時に、私が感じていたことは「家族全員でこの仕事をしているのは危険だな」ということでした。また、ちょうど自分自身における限界も感じていた時期でした。
もう一つは、その父親の病気です。元々、糖尿病を患っていましたが、同時期から徐々に健康状態が悪くなっていきました。創業者にはありがちですが、ワンマンな性格で、入院していても看護師さんたちに迷惑をかけているような人でした。どんなに体調が悪くてもお酒もタバコもやめない人で、そばにいた母親が一番苦労していました。
そんな調子だったため、あまり長くは生きられませんでしたが、当の本人は何かを我慢してまで長生きを望むような人ではなかったため、納得していた部分はあったと思います。心残りなのは、最期くらい吸いたいと言っていたタバコを吸わせてあげ、飲みたいと言っていたお酒を飲ませてあげられていたらと、今ではそう思います。
製造業にいた自分でもチャレンジできそうな分野と父親を最期まで支えていた母親と家族。これら二つのことがきっかけとなって、介護分野に進もうと決めたわけです。
それから10年後に、瀬戸内海の島に来て訪問看護サービスを始めるとは当時思いもよらなかったことです。今となっては、この時の決断が私の人生において、とても大きいものだったと感じています。