【ルンタWEB通信015】またひとつ、彼女たちの夢が膨らみました。
vol. 19 2018-06-15 0
ルンタプロジェクト代表:中原一博
クラウドの目標達成、感謝!ルンタプロジェクトの今回のクラウドファンディングは期限前19日目にして、めでたく目標300万円を達成することができました。途中予測ラインを下回ること時期が長く心配した時期もありましたが、最後はある方の大口により一気に達成されました。しかしそれでも建設費は十分ではないので、引き続き最後まで頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
シンガーソングライターの浜田省吾さんからの支援
今日は、ルンタプロジェクトが関わるもうひとつの団体「シャクティサムハ」との共同事業について紹介させていただきます。人身売買被害者の救出と職業訓練を行うこの事業は、シンガーソングライターの浜田省吾さんが2016年に『震災ネパールチャリティーコンサート』を開催してくださり、集まった寄付により3年間の期間限定で実行しているものです。
まずは浜田さんと私の関係を説明しなければいけません。ソングライターとして有名になった浜田さんとは、中高生時代からの友人です。高校時代には、ロックバンドを一緒にやっていました。
そんな関係から、かつてはチベット支援のためのチャリティーコンサートを開催してくださり、集まった寄付でチベット難民の子供たちの寄宿舎を建設することができました。
そして今回、ネパール地震をきっかけに、ふたたびチャリティーコンサートを開催してくれたのです。彼は日本の音楽界ではなぜか珍しい社会派。浜田さんの協力で立ち上がった支援組織J.S.Foundationを通じて、世界中の人びとへ多くの支援を続けていらっしゃいます。
現地団体「シャクティサムハ」とルンタの共同事業も、このJ.S.Foundationからのバックアップがあり始めることができました。
人身売買被害者レスキューとは
文字通り、インドを中心とした娼婦街に売られたネパール人女性たちをできるだけ多く救い出し、ネパールの保護施設まで無事届けるという仕事です。インド側に職員を雇い、情報を集め、地元警察、他NGOなどと連帯し、ネパール大使館とも連携しながらミッションを行います。人身売買のルートは犯罪組織が関わっているため、救出は容易ではありません。何より、軟禁され、脅迫されている女性たちから、どうやって私たちの信頼を得ることができるかが、初動の鍵になります。 私も現場に入ったことがあるが、雑居ビルは出入り口がひとつしかなく、狭くて、監視され、脱出は非常に困難なのです。脱出に成功したとしても、帰還するために多くの時間と手続きが必要です。今期は無事17人の救出に成功しました。
職業訓練とは
幸運にも救われたサバイバーたちですが、もとの家族や社会に受け入れられることは稀です。残念ながら今日のネパールでは、カーストという悪しき差別意識が深く根付いています。社会にすぐには戻ることのできない被害女性たちは、シャクティサムハのシェルターに身を寄せ、心理的に落ち着いたあと、本人が望めばルンタが支援している「ハンディクラフト部」で働きながら社会復帰を待つことができるようにしています。
ルンタはシャクティサムハ事務所ビルの家賃の半額を負担し、5人の指導員の給料などを負担しています。ルンタで染色を指導してくれている林灯子さんやビーズと経営の専門家としてマサラビーズの吉田えり子さんにも関わっていただいています。コンサルの経験豊富な吉田さんのおかげで、アメリカを中心とした海外からのオーダーも継続的に受注することができ、経営は順調になってきました。
今年はこのプログラムを通じて75人のサバイバーが、職業訓練を受けることができました。来季はいよいよ、カトマンズの中心にあるタメルという繁華街に、独自のショップをオープンしようとしています。もちろんこのお店には人身売買サバイバーたちが作った商品を販売する窓口であり、シャクティサムハの活動や人身売買の問題を知らせる情報発信のベースにもしたいと考えています。そしてルンタで育てている多肉植物やグリーンを販売し、カフェもやりたいなど女性たちの夢は膨らんでいます。
ルンタプロジェクトの目的は、シェルターを建設したら終わりではありません。「希望をもう一度」胸に抱くことができること、そして自立への確かな道を開いていくこと。彼女たちのひとつひとつの夢を膨らませ、ショップオープンの夢が叶うように、一緒に頑張っていきたいと思います。