ビデオブログを考える。(5) - ブログでもオリジナリティ
vol. 6 2014-06-04 0
国内YouTubeにおける今日のビデオブログは、そのジャンルのパイオニアとも言える超有名YouTuberが基礎を構築した。
長らくニコニコ動画以外の風土を見ていなかったルミナスタジオは、作品のPRや人気動画の傾向を研究すべく、人気YouTuberとされるユーザーの動画やそれを試聴するユーザーの動向を伺っていた。
その大半は『自分をキャラクターとするブランディング戦略』により、現在のチャンネル規模を獲得しているのだ。
大きな例としては、ルミナスタジオも投稿プランニングの参考にしていた瀬戸弘司氏。
https://www.youtube.com/user/eguri89
ルミナスダイアリーとほぼ同時期にビデオブログを始めたらしく、アルバイトを続けながら作品を投稿していた瀬戸弘司氏は、継続し続けた作品制作の中で編集力を磨き上げていくことに成功し、今日のようなハーフミリオン級のチャンネルを築き上げることに成功した。
氏は元々演劇役者であったため、持ち前の演技力とリアクション力を駆使し、メインコンテンツである商品紹介を演出していった。『プーン』と言いながら不要物を画面外へ投げ飛ばすリアクションは、氏の代名詞でもある。
続いて自分自身をキャラクターとせず、オリジナルキャラクターを用いて作品を投稿している国内YouTuberとしては、ABTV Networkの荻野氏が該当するだろう。
https://www.youtube.com/user/ABTVnetwork
持ち前のVFX制作力はもちろんだが、注目すべき点はチャンネル内に存在するオリジナルのキャラクターである。
荻野氏の周りに存在するキャラクターもまたABTV Networkの一員であり、ビデオブログというジャンルではないものの、ルミナスタジオの構成と似通う部分が存在している。
作品(ネタ)の構成力も十分に備わっており、多くのYouTuberからVFX合成のオファーを受けているなど、その制作能力は関わった誰もが認めるほどの力量の持ち主だと、個人的な印象がある。
多くのチャンネルを視聴し研究を続けていた結果では、YouTube内では『自分以外のキャラクターを中心としたビデオブログ』は存在していないということがはっきりと分かり、この時点でルミナスダイアリーシリーズはオンリーワンのビデオブログだという事になってしまった。
というのも、有名なYouTuberの成功例があまりにも強大であるが故に、構成を似通わせることで追随しやすく、且つコストや制作時間も短縮できるというのもあると思われるが、YouTubeが推奨する『ブランドアイデンティティの向上』というアクションを達成できるかは疑問ではある。
有名YouTuberが何故有名であるのかを探求していくと、そこで気づくのはやはり、それぞれの『武器』ともいえる個性が存在しているのだ。
先述した瀬戸弘司氏の『プーン』もまたそれであり、ABTV Networkでは当然ながら登場するキャラクターの一貫性がチャンネルブランドを特徴づける個性である。
今やブログですらもオリジナリティが必要な時代である。
YouTubeへ参入した直後『有名YouTuberのように自己を出さなくては成功できない』とアドバイスをした方が居た。しかし、ルミナスタジオがBreakthrough_ace.輝鳴本人をメインコンテンツとして登場させ続けていれば、ここまでのチャンネルブランド価値を得ることはできなかっただろう。
何故ならそのスタンスは既に数々の有名YouTuberないし、それを見習い後続しているYouTuberと全く同じであるからだ。
●新シリーズ予定枠(題名)04より サムネイル画像
現にYouTube参入直後、紅葉の立ち絵イラストが納品されるまでの間に自分自身をメインとして立たせた『新シリーズ予定枠(題名)』というシリーズを制作してみた。
要するに『自分も有名YouTuberを真似た構成で作品作りを試してみよう』という試みだったのだが、ここで自分自身をメインキャラとして登場させコンテンツを取り扱うメリットとデメリットがよく見えてきた。
◆メリット
・制作速度が非常に早い
・殆どの編集作業をカットのみで済ますことができる
・上記の事から、動画数をかなり多くすることが可能
◆デメリット
・本人の説明力や解説力を要求される
・演技などでよりコンテンツを演出していく必要があり、その能力が求められる
・既に多くのユーザーが同じ構成を実行しているため、大きなブランド力を得られない
これにより、紅葉の立ち絵イラストが納品された後は『新シリーズ予定枠(題名)』の連載を終了した。計10回の投稿だった。
このメリットとデメリットを捉えた後は、よりルミナスダイアリーシリーズ本編の構成力の強化と効率化に注力していくべきという結論に至り、現在でも更なる投稿の効率化に関する仕組み作りを研究している最中だ。
そう、ルミナスタジオは作者本人の想像以上に、作品の地盤を整え切っていたという事でもあった。