ビデオブログを考える。(4) - ルミナスダイアリーのはじまり(その4)
vol. 5 2014-06-03 0
ルミナスダイアリーが2周年を迎えた頃、Breakthrough_ace.輝鳴はこの作品をライフワークの一つとして続けていくことを決心した。
が、その決心の裏では『今の土俵では全くもって作品のためになっていない』という実感も同時に持っていた。
この時のニコニコ動画は、既に制作者中心のコミュニティから視聴者重視の方向へ舵を切っていた。
そのため、人気ジャンルや投稿者にだけ力を注いで収益を得る運営体制へと自然に変化していた。ルミナスダイアリーが陽の目を見る機会は更に減ってしまっていたのだ。
現に「こんなに丁寧に作られた動画が人気にならないのはおかしい」と、多くの視聴者から反応を頂くことができた。しかしニコニコが求める投稿者像は、『人気生放送主』や『VOCALOIDチューンの歌い手』など、まさにサイト内での"人気芸能人を育てる"方向へと向かっていたため、自分自身の力量ではどうしようもない状態であった。
●第119回より 北海道斜里町知床半島 プユニ岬
ニコニコが悪いわけではない。
自分の動画がそこにマッチしていないだけだ。
Breakthrough_ace.輝鳴は知床半島での遠征の際に、強くこう考えていた。
ならばマッチする土俵を探す必要がある。次に視線に入ってきたものはそう、YouTubeだ。
非常勤職員の任期が満了する前に、YouTubeでの動画はどういったものが投稿されているかをリサーチしていた。
そこで最初に見つけたのは、現在ではチャンネル登録数500,000人を突破している『瀬戸弘司』氏の動画であった。
ここでBreakthrough_ace.輝鳴は、ある種の後悔を感じていた。「最初からYouTubeを選んでおけばよかった」と。YouTubeでは国内におけるビデオブログの地盤が、幾つかのパイオニアたる投稿者の功績によって既に整っていたのだ。
YouTubeで日本人によるビデオブログの投稿が盛んに行われたのはほんの3年前。つまり、ルミナスダイアリーが始まった時とほぼ同時期であった。当時ビデオブログを投稿していたユーザーの間でコミュニケーションが深く行われ、ユーザーは自らを『動画編隊』と呼んでいたという。
さらにYouTubeでは、動画内に配置することで得られるGoogle Adsenseによるアフィリエイト収益を狙うことができる。これを主とする収入源にして生活している者を『YouTuber(ユーチューバー)』と日本で呼ばれていることも初めてそこで知る事になった。
迷いは無かった。今からでも遅くない。
2013年4月、ルミナスタジオ及び『楢崎留美のルミナスダイアリーシリーズ』はYouTubeへと拠点を移し、YouTuberとして作品を投稿し続けることになったのだ。
『ニコニコと同じ構成で、YouTubeユーザーが受け入れてくれるのか』『投稿者本人が出なければ動画の体を成すことができない』などという疑問や指摘は杞憂であることもすぐに実感できた。現にルミナスタジオ公式チャンネルの登録者数は2,900人を達成し、間もなく3,000人を突破する見込みだろう。
そして2014年現在、数多くのYouTuberが自らの思い描く作品を作るべく、YouTubeへ動画を投稿し続けている。
ルミナスタジオもまた、その中の一人だ。