出演者の方へのインタビュー
vol. 9 2021-11-30 0
こんばんは!
アップデートをお読みいただきありがとうございます。
”普通とは何か”を問う本作ですが、本読みや現場では”普通とは何か”について監督やスタッフ、出演者の皆様が一人一人考えたり、話し合ったりする場面が多くありました。
今回は、出演してくださった方に、感想や”普通”について考えた事などをインタビューした内容を掲載します!
■齋藤役 水谷翔真 様
【"普通"とは何か】
"普通"という概念には、社会で言われる"普通"と個人一人一人が持つ"普通"があると思っています。これらは完全に同じものでも、異なるものでもなく、一人一人が持つ"普通"という概念は少なからず異なると同時に、皆んなが全く違う考えを持つかというとそうではないとも考えています。社会の"普通"と個人の"普通"が相互に作用しあって"普通"という概念が形成されるのではないでしょうか。社会が形成する"普通"があるから、個人の"普通"が存在するし、個人が社会の"普通"という概念に対し働きかけるからこそ社会の"普通"が形成され、時代とともに変遷していくのではないかと考えています。"普通"という概念は変わらないものに見えて意外と変動的だと思うんです。
また多数派になりやすい"普通"は、良くも悪くも自分を正当化する一種の手段になりうるとも考えています。
【撮影に参加した感想】
何もかもが初めてであり、一つ一つが新鮮で楽しかったです。募集を見て興味を持って応募してみたら、本当に実現して、読み合わせを重ねるたびに「本当に参加するんだな」とじわじわと実感しましたね。関わってくださった全ての方がいたからこそ成り立ったと思いますし、本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
【印象的なシーン】
やはりストーリーの転換点の一つである、人形に目玉をはめるシーンが印象に残っています。このシーンは斎藤が初めて店長に自分自身の意思を表したところであり、勇気を持って行動を起こす斎藤の心情を撮影前に常々考えていました。あとは、店長と厨房で言い合うシーンの緊張感が好きです。全力で互いの価値観をぶつけていく、対立していく緊張感が面白かったです。苛立ち、怖さが生まれたあのシーンでは本当に店長が憎かったです。たぶんですけど、あのシーンでまばたきを一回もしていないと思うんです。終わった後にコンタクトが落ちそうになったくらいです(笑)
■店長役 みやたに 様
【"普通"とは何か】
以前から"普通"という概念は、典型的な共同幻想のひとつと考えていました。共同幻想は幻想ではあるけれども、それがあるからこそ社会が成立するという実利的な側面を持つ。たとえば「お金」もそうだし、「民族」もそうです。"普通"という概念にも同じことが言えます。今、改めて普通とは何かが問い直されるべき時期にあり、社会の少数派(マイノリティ)が息苦しくないように生きていくためにはどうしたらよいかをひとりひとりが考えるべきだと思います。なぜなら私たちは全員がなんらかの領域でマイノリティの筈だから。
あと忘れていけないのは、普通という概念(共同幻想)があるからこそ安心して生活ができるということ。"普通"という概念を問い直す中で、「"普通"に頼るのはいけないのではないか?」という疑問を持つことは大事だけど、他方で普通があってこそ生きていられるという人の心情(我らの中に巣食う普通でない人を避けたいという気持ち)にも思いを馳せることも大切だと思います。だからこそ「“普通"じゃない人を応援している人」だけが正しいという意見には偏ってはならないんじゃないかな。
【撮影に参加した感想】
役者の演技という点において、デジタルでもフィルムでも緊張感やワンカットの大切さは同じだと思います。目の前の役者(相手方)の演技も、撮影や録音の状態も一回性は同じであって、撮り直しがきかないのはデジタルでも同じ。フィルム数フィートよりも「遙かに高価」です。だから、「フィルムだから緊張感を持つ」という考えに対し、心の中で5分間だけ異を唱えました。でも、実際に現場に入ってみるとフィルム撮影にかけるスタッフ陣の緊張感はひしひしと感じられ、十分に伝わりました(笑)
フィルムでの撮影は初参加で楽しかったですし、監督のおかげもあり和気藹々とした現場で非常に記憶に残る作品となりました。
キャスト一人一人の役割が大きく、とても面白い配役でした。私と○○○○さんの役が逆だったら、、、とも考えたりしました。
【印象的なシーン】
印象的と言えば、やはり○○○○さんとのシーンです。台本にはないことを入れてきたりするので、あのフィルムが最後まで活きていると良いですね。編集がどうなっているかは分かりませんが、、、。
好きなシーというなら、厨房で斉藤と店長が対立するシーンですね。斎藤を演じる水谷さんの表情の迫力はもちろんのこと、自分自身が嫌な役をやっているということの喜びも詰まっているので(笑)。でもイヤに見えるかも知れないけど、これがスタンダード(普通)なんでしょうね、「あんなにキモい奴らにはあーゆー態度をとって当然だ」と思ってもらえなかったとしたら僕の演技が一面的に過ぎるのかも知れない。
水谷様、みやたに様、ご協力いただきありがとうございました。
「普通とはこうだ」とある概念を押し付けるのではなく、”普通”について今一度考えるきっかけとなってほしい、そんな思いを込めた本作。是非これまでの投稿をご覧いただき、応援していただけましたら嬉しいです!
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