参加アーティストのプロジェクト案を公開します!!
vol. 2 2022-04-24 0
参加予定のプロジェクト案を公開します!!
まだ来たことのない熊野市に想いをめぐらし、それぞれの案を考えてくれました。どう発展するかたのしみですねっ!
ローレンツ クナッス x エマ クリング(パフォーマンス)
熊野でのプロジェクトでは、伝統的な織物と現代的な生地を使って、地方からの脱出(疎開)をテーマとし、短いパフォーマティブな行為を写真で表現したいと思います。現地では、織物の「ボロ」をベースに、持参した生地と現地で見つけた織物を組み合わせます。そこに住む人々に個人的にまた集団の意味を持つ古布を提供してもらい、私たちが既に旅先で集めた素材と一緒に縫い合わせ、現代(合成)素材と伝統的な素材が共通の表面を形成させます。この生地素材を下駄に装着し、歩くたびに後ろに引っ張られる仕組みを作り上げます。下駄は木と陶器でできており、安定感の一方で、その否定である壊れやすさを連想させています。現地で出会った人たちや旅行者、またアーティスト達にこの下駄を履いてもらい、縫い合わせた生地を後ろ引きずる行為をしてもらう予定です。
リヌス リープラー (劇場空間インスタレーション)
熊野のプロジェクトでは、この地域のストーリーを伝えつつ、来場者も体感できる劇場空間のようなものを作りたいと思っています。そこで日本の伝統的な演劇技法をベースにしながら、ビデオサウンドレコーディングなどの現代的なメディアと組み合わせ、自身の制作方法で補足していきます。伝統技法の「襖からくり」と連携し、住民を巻き込みながら芸術作品に展開させます。基本的な骨組みのパネルは、住民と協力して現地で制作する予定で、空き家の襖を利用したり、他の素材や物(布、家具の残骸、日用品など)を取り入れることを考えています。場合によっては描写によってある場所が引用され、物語が語られるかもしれません。現地で作成した動画は映像作品としてプロジェクションに組み込んだり、インスタレーションの一部として設置されます。
ナティア カランダッツェ(絵画)
日本の伝統的な織物の柄を基本的な題材として、熊野の公共空間の中で、住民の現在の問題を、記号、テキストメッセージ、ドローイングをキーワードに絵画の手法を用い可視化していきます。その際、製作展開は偶然に任せ、参加型の場を作りながら、このプロセスに添っていきたいと考えています。インスタレーションでは、映画館のスクリーン、ストーリーボード、公開日記など、あらゆる形態をとることができます。
マティアス ラムセー (絵画)
熊野のプロジェクトでは、接触や出会いの感染性、そして静的と信じられているものの過不足や再形成をテーマに制作を行います。私は日本やオーストリアに自生する動植物に興味があり、バイエルンの医師であり科学者でもあるフィリップフランツフォンシーボルトの歴史を出発点とし一連の絵を描きます。シーボルトは19世紀半ばに長崎港の人工島である出島商館で7年間を過ごしました。そこでシーボルトは、包括的な動物植物コレクションの標本を取得し、密かに日本の地図を作成しました。歴史的にも彼の活動は西洋の日本研究の基礎ともなりました。またシーボルトの出島での滞在は政治的だけでなく生態学的な結果ももたらしました。今回のプロジェクトでは、まずウィーンにあるシーボルトの資料や標本をもとに絵を描き、熊野で植物や動物を探し、絵を描き足していきたいと思っています。ウィーンと熊野で制作した2つの作品群を並べることで、熊野からウィーンへ、そして再び熊野へと思考の糸を紡ぎ、過去200年間の生態系の変化の可能性を指摘したいのです。
ミヒャエラ ファルケンシュタイナー (彫刻)
熊野でのプロジェクトでは、地域の風景からインスピレーションを得た彫刻を作りたいと考えています。その土地で手に入る素材に親しみ、その特性を体感する機会が、彫刻の最終的な形を決定します。場所を探し、花のへた、鳥、貝殻のような形で空間を埋めていく。空間をつくり思考に入り、誰がどのようにどの程度入っているのかを考える。田舎を出て、都会で新しい自分を見つけ、何かのきっかけで帰ってくる。これはどうすれば成功するのか、人は内外の限界、正しい尺度、中間をどう体験するのか......。離れても戻ってくる。帰ってきた自分はどんな人間なのか?どんな場所にもう一度行けるのか、一度離れた場所をどうやって見つけるのか。
クリスチーナ ケレケス (映像)
私の作品では、映像という手段を用い、家、また家がないホームレス、社会から疎外されたグループといったテーマを取り組み、調査し浮き彫りにしていきます。そこで料理や食事の、言葉によるコミュニケーションを必要としない世界共通言語を題材として扱います。地域の日本料理を教えてくれる人を探しドキュメンタリーを撮り、可能であれば公共の場での大規模な共同調理を行い、地域の人々とアーティストが新しい料理体験を共有し、共に食事をすることで、言語理解に関係なく異なる集団や国籍の人々をつなげることを目的とします。