【展示のご案内】豆本『航海記』のものがたり 赤井都×山小屋ブックス
vol. 9 2024-10-25 0
展示のご案内です。
11月1日〜9日まで、東京・恵比寿のgallery and shop山小屋で、新しい豆本『航海記』のお披露目展示を行います。
もともとは、2020年に山小屋で行った赤井都さんの個展で、私は初版の豆本『航海記』と出会いました。
和紙に活版印刷、手製本で作られた限定30部の豆本は、佇まいからしてとある静けさを持っていました。
海の泡のような質感の真っ白いたとう(ケース)、薄い和紙の手触りが繊細な本文、ドライポイントで刷られたボワっとした波の絵の線画、その一つひとつが合わさって、波の揺らぎや舟旅を表す。初版の『航海記』は、小さな本でありアート作品でした。
写真は、2016年に作られたオリジナルの豆本『航海記』(赤井都 作)
赤井都さんのホームページに、『航海記』について紹介するこんなテキストがありました。
「大海を旅する、小さな舟で漕いで行くあやういかんじを小さな一冊の中に表現しました。」
この作品が忘れられず、その後赤井都さんと新しい形の豆本を作ることになりました。
3年かけて、新しい判型、印刷、レイアウト、紙、装丁で作ったのが、今回の豆本です。
ちなみに今、クラウドファンディングで応援を募っている「書店版」は、今回展示する豆本よりも大きなサイズで、全国の書店に並ぶ本として、これから仕様やレイアウトを詰めていきます。
いろんな『航海記』があってややこしいのですが、(わかりづらくてすみません!)
今回展示する新しい豆本は、2020年に山小屋の読書席で出会ってから3年かけて作った本なので、「読書席3年後版」としました。
この新しい豆本は、装丁も3種類あります。
詳しくは、次回の投稿でお話しますね。
今日は、この豆本の展示について、ご案内できればと思います。
この夏は、豆本『航海記』の制作が佳境でした。
何度も打ち合わせをし、いくつもの試作を経て、ようやくたくさんの人に見ていただきたい、そう思えるところまで形になりました。
赤井都さんによる文、造本設計、手製本、線画の凸版印刷です。
文章の印刷は活版印刷で弘陽の三木弘志さんによるものです。
ぜひ、展示に足を運んでいただき、
『航海記』のものがたりと出会っていただけたらうれしいです。
山小屋でお待ちしていますね!
どうぞよろしくお願い致します。
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豆本『航海記』読書席3年後版(文・絵・書籍設計 赤井都 発行 山小屋ブックス) 海の窓装(染め紙 吉成虎維)
【展示詳細】
豆本『航海記』のものがたり
赤井都×山小屋ブックス
開催日時:
2024年11月1日(金) – 9日(土)
14時–19時
11月5日(火)は休廊です
会場:
gallery and shop 山小屋
東京都渋谷区恵比寿1-7-6 陸中ビル1F
JR 日比谷線 恵比寿駅から徒歩2分
https://galleryyamagoya.com/
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この本と生きたいと思った————
航海記のものがたり
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主人公である「私」が、どこかの海にいてひとり舟を漕いでいます。
あるとき同じように舟を漕いでいる他者の気配を感じます。「おおい」「おおい」と呼びかけ合いながら、しばらく並走して同じ時を過ごしますが、またひとりになる。 ひとりに戻って、それでも舟を漕ぎ続ける、そんな物語。
私は『航海記』と出会って、この本と生きていきたいと思いました。この物語は、私が私として生きていく道しるべになってくれる。
作者である赤井 都さんとともに、三年かけて新しい形の豆本『航海記』をつくりました。
今だからこそ作れる形や色になっています。
あなたの『航海記』と出会いにお越しください。
この物語は、多分あなたのものがたりだから。
新谷佐知子
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新版の豆本『航海記』は、本文を活版で印刷した手製による限定本です。
装丁は3種類、言壺装(20部)、海の窓装(50部)、雁垂装(210部)。
展示期間中、山小屋とOnline Shopでご予約をお受けいたします。
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言壺装 限定 20部(染め紙 石原実 本文紙 明光ワークス アート工房和奏)
海の窓装 限定 50部 (染め紙 吉成虎維 本文紙 明光ワークス アート工房和奏)
がんだれ装 限定210部(染め紙 吉成虎維 本文紙 明光ワークス アート工房和奏)
<展示クレジット>
企画/新谷佐知子 文・絵・書籍設計/赤井 都 活字製版・印刷/三木弘志(弘陽)
海の窓装 染め紙/吉成虎維 写真/市川勝弘 DMデザイン/高野美緒子
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赤井都(あかい・みやこ)
豆本作家・ブックアーティスト
Miniature Book Society会員、東京製本倶楽部会員。2006年、ミニチュアブック協会(本拠地アメリカ)の国際的な豆本コンクールで、独学で初めて作ったハードカバー豆本で日本人初のグランプリを受賞し、2007年連続受賞。2006年より個展、グループ展、ワークショップ講師多数。オリジナルの物語とその世界観を表す装丁に惹き付けられるファンは多い。10年かけてルリユール工房「パッセ・カルトン」「書籍の修理と保存」「デコール」受講終了。2016年、3度目のミニチュアブックコンペティション受賞。香港、アラブ首長国連邦の政府招待で現地にて豆本ワークショップを行う。2018年、2019年、豆本を広めた貢献がミニチュアブックソサエティから表彰された。著書に『豆本づくりのいろは増補新版』(河出書房新社)。