いつでも見たことのない世界に行ける扉(長谷部智恵さんからのメッセージ)
vol. 23 2025-01-26 0
クラウドファンディング終了まであと6日となりました!
本日は、大和書房編集部の長谷部智恵さんからいただいたメッセージをご紹介します!
長谷部さんは、わたしの「言葉の園のお菓子番」シリーズの担当編集者です。
わたしが活版小物のイベントに出店し、140字小説活版カードを販売していたときにはじめて出会いました。
そして、このシリーズの執筆に先駆け、いっしょに連句を巻くようになりました。
わたしの活版印刷の140字小説本を作るプロジェクトでもご支援いただき、今回のプロジェクトもご支援いただいています。
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◆長谷部智恵さんからのメッセージ◆
140字小説に出合ったのは、ほしおさなえさんの活版印刷カードを通してでした。そのとき手に取ったのは、5枚組のカード。その1枚1枚に、整然と、不思議な存在感を放つお話が並んでいました。
いとおしさと、なぜか少しばかり背徳的な喜びを感じながら読む、小さな小さな物語。
それは、たとえば、子どものころに読んだ、箪笥の引出しを開けると田園風景や小さな家々が並ぶ村があって人が暮らしているという昔話の、その引出しをそっと開けたときのような(もちろん妄想のなかでです!)心持ちだったかもしれません。
いまも、いろいろなかたが書かれた140字小説を読むとき、引出しのなかの世界を垣間見るような、どこか知らない小宇宙に続く引出しを開け、扉を開くような、精緻につくられたミニチュアのドールハウスのなかを覗き見るような心のときめきを感じるのは、その140字小説との出合いの記憶が影響しているような気がしています。
今回、140字小説のレーベルをつくり、新しい書き手の作品をシリーズ刊行していくプロジェクトについてうかがったとき、そんなすぐ隣の異世界へと続く色とりどりの小さな扉が、360度シアターか何かのごとく周囲に鏤められているイメージが湧きあがってきました。
この扉を開けたら、どんな世界があるのだろう、扉のなかの部屋でゆっくり過ごしたらどんな気持ちになるのだろう。
小さな引出しのなかのような静かで、完結した、やさしくて淋しくて豊かな世界。
いつでも、見たことのない世界に行ける扉を、本のかたちで所有できるとは、なんと贅沢なことでしょう!
このプロジェクトを応援するとともに、完成した本を手元に置ける日を心から楽しみにしています。
長谷部智恵
大和書房にて編集職に従事。連句の世界を舞台にした、ほしおさなえさんの小説『言葉の園のお菓子番』シリーズを担当。
言葉の園のお菓子番シリーズ
現在5巻まで。春に6巻を刊行予定。