「ひとつの物語を読み終えた」と思える充実感(貝塚円花さんから応援メッセージ)
vol. 11 2025-01-21 0
コレクターの貝塚円花さんから応援メッセージをいただきました!
貝塚さんは「星々」の第2回短編小説コンテストで正賞を受賞。ほかにもさまざまな媒体で活発に作品の発表を続けています。
毎日が忙しく、本を読むゆとりがない・・
そんなときでも140字小説なら1編のお話を読み切ることができる、
さらに「言葉のふね」の3人の作品は、140字のはずなのに遠くて広い別の世界へ連れていってくれる、と語ります。
忙しい日常の中でも物語を楽しめる、そんなプロジェクトにしたいと思っています!
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◆貝塚円花さんからのメッセージ◆
本を開き、物語に浸かる時間は豊かで幸せなものです。でも本を読むのは意外に体力を使うし、時間もかかる。私も子供のころは本の虫でしたが、大人になってからはいろいろな事情で読む数がどんどん少なくなり、自分は本好きと言っていいのだろうかと自問自答することもしょっちゅうです。
疲れきっているときには本なんか読まなくてもいい、というのが最近の結論になりました。でも、本を読むことでしか回復できない心の部分が確かにあります。文庫本1ページくらいなら読めるけれど、中途半端に読み止めるのも寂しいなあ、と諦める日も結構あります。
140字だけの小説なら、ほんの少ししか読む時間や元気がなくても、ひとつの完結したお話を読み切れます。生活に追われている中で「でも今日はひとつの物語を読み終えた」と思えることは、作品の豊かさに触れることとは別に、ちょっと自分に自信が持てるようなところもあります。
実は140字小説を知ったばかりのころ、短いなら短いだけの世界しか描けないのでは、と思っていました。けれど、たった140字のはずなのに遠くて広い別の世界へ連れていってくれる、不思議な作品もあるのです(こういう魔法のような作品を読むとき何が起こっているのか解明したいのですが、いまだに私にはわかりません)。
今回作品集を出されるお三方の140字小説は、そういう風に何度も私をいろんな世界へ連れ出してくれました。ひとつの作品世界を何日も反芻して考えたこともあります。
もちろん、短いことを活かした軽くて楽しい読み心地の140字小説もあります。そういった作品はかえってコンテストなどでは取り上げられづらいと思うので、作品集としてまとまった形のなかで発見するのが楽しみです。
貝塚円花
第2回星々短編小説コンテスト10000字部門正賞
第53回北海道新聞文学賞創作・評論部門佳作。
https://madokaizuka.tumblr.com
貝塚さんが出した本たち