「マハーバーラタ古代の話結びついてる現代政治」
vol. 13 2017-07-31 0
今これを書いているのは7月30日。8月5日の世界初演まであと残り1週間を切って、ギリギリまで最高のものにすべく、気力体力を振り絞りながら稽古を進めています!
今回の稽古場日誌のタイトルは、実は一番最後に出てくるラップの一節。
そもそも演出の小池さんがマハーバーラタプロジェクトを始めた理由のひとつに、現代社会の諸問題が、遠い古代の話であるはずのマハーバーラタにも非常に近い状況が見られるということで、マハーバーラタに込められている智恵と共に、今の社会状況を考えるきっかけにしたい、ということでこの一節が出てくる訳です。
私利私欲が絡まりあい、戦争に突き進んでいく姿。前回の稽古場日誌で書いた「ダルマ」はいったいどこにあるのか?
マハーバーラタの時代は、戦争にも「ダルマ」がありました。色々なルールがあって、戦うのは日の出から日没まで、とか、武器を持たない非戦闘員である戦闘馬車の御者は攻撃してはいけない、騙し討ちはしない、など。それを守って、自らの義務を果たすのが武士階級であるクシャトリアの務め。しかも戦闘は広大な戦場で行われるので、一般市民が巻き添えになることはなく、時には大将同志の一騎打ちで勝敗を決し、兵士の犠牲も最小限にする。
現代の戦争は、戦闘員よりもまず一般市民が犠牲になります。第一次大戦以降、戦争ごとに兵隊よりも一般市民が犠牲になる割合がどんどん増えています。
戦争の理由そのものも、結局は石油などの資源の権利を得るため。戦争の背後にいるのは巨大企業など、「国」ですらありません。それらが自分の利益を確保するために「国」を持ち出して国民を欺き、戦争ビジネスを仕掛けている。
マハーバーラタの頃の方が、戦争とはいえ、まだ「ダルマ」があったように思います。
そんなことを考えるきっかけになれば幸いです。
しかし、実際の舞台はあれこれ考えずに、舞台上で起きていることに没頭して、その世界にどっぷり浸かってくださいね!
そして、何日か経って、もしくは何ヶ月か何年か経ったときに、今回の舞台を観て持ち帰った何かが浮かび上がってくることがあったら良いなぁと思います。
東京公演までいよいよあと2週間を切りました!皆様にお会いできるのを楽しみにしています。
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