『凍えるほど近く』ディレクターズ・エッセイ① 「作品制作のこだわり」
vol. 1 2026-09-25 0
『凍えるほど近く』ディレクターズ・エッセイ
深田隆之監督が語る「作品制作のこだわり」
(以下、原文まま)
今回のこだわりはキャスティングです。
企画を思いついた当初から、雪女をただの怪物や妖怪ではなく限りなく人間に近い存在として表現したいと思っていました。それを実現する上で、キャスティングはとても重要だと考えていました。「人間を超えた存在」と「現実を生きる女性」を行き来できるような俳優を考えた時に、『息を殺して』でも強く印象に残っていた谷口蘭さんならそれを表現してくれるのではないかと思いオファーしました。実際にどんな形で雪女が体現されているのかはスクリーンでお楽しみにしてもらえればと思います。
夫であり父親役の亮一は、ただの悪い人間ではいけないとも思っていました。ちゃんと「父」「夫」という役割は担っていつつそれでも江美子への振る舞いは攻撃的になっている。そんな揺らぎを存在感で示せるのが藤江琢磨さんでした。現場では、脚本以上に息子である和穂の良き父としての側面が見えてきました。良き父でありながら良き夫にはなっていない、という繊細さを想定を超えて表現してもらえたのではないかと思っています。
そして和穂役の須藤蓮くん
脚本で彼のセリフは書いていなかったのですが、現場ではたくさんのアイデアを出してくれました。彼の提案したセリフがまさに作品の根幹を示していることもあり、現場ではそのポテンシャルに驚くばかりでした。
最後に村岡役の吉岡睦雄さん。村岡といっても名前は出ず、すれ違う街の人なのですが、前半で何かが起こる予感を示す人物としてとても重要な役どころを担ってもらいました。吉岡さんのちょっとした仕草だけで何か不吉なことが起こる。そう思わせてくれる素晴らしい芝居でした。
何よりも俳優の皆さんの素晴らしい演技を見てもらえたら嬉しいです!深田隆之
『ある惑星の散文』(2018)が第33回ベルフォール国際映画祭など、国内外の映画祭にて上映。続く中編映画『ナナメのろうか』(2022)が第70回サン・セバスティアン国際映画祭他、海外映画祭にて上映された。2022年、両作はともに全国ミニシアターで劇場公開。
映画制作以外の活動として、2013年から10年間開催された船内映画上映イベント「海に浮かぶ映画館」の主催/プログラムディレクターを務めた。一般社団法人こども映画教室®︎の講師・チームファシリテーターとしても活動中。また、2021年から愛知大学メディア芸術専攻で非常勤講師を務めている。
