NOG COFFEE ROASTERS 焙煎士/スペシャルインタビュー
vol. 8 2022-10-08 0
「フリーランスのバリスタにこそ、世界レベルの焙煎機を使ってほしい」
“シェアロースター”とは、コーヒーの焙煎機をシェアするサービスのこと。
『FOOCO』では、NOG COFFEE ROASTERS(ノグコーヒーロースターズ/以下、NOG)協力のもと、シェアロースターサービスを提供しています。
NOGの焙煎士である藤城さんに、このサービスの魅力を語っていただきました。
お話:藤城隼さん(NOG COFFEE ROASTERS/焙煎士)
聞き手:炭田友望(シェアキッチン運営チーム/ライター)
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■より早く、より上手くなれる。それがシェアロースターの魅力
シェアロースターに興味があっても、いきなり扱えるのか不安な方もいますよね。NOGでは使用前にレクチャーがあり、プロファイル(レシピ設定)もお伝えするので、すぐに合格点レベルの焙煎が可能です。80点といったところでしょうか。
なぜお伝えするのか疑問に思うかもしれませんが、焙煎機を使う方には80点の先「残り20点をどう焙煎するか」に注力してほしいんです。
それには「自分のコーヒーを飲むのはどんな人か?どんなコーヒーを好むのか?」などを考え「もっと酸味を抑えた方がよさそうだから、次はそういう焙煎にしよう」と試行錯誤することが不可欠です。そうして突き詰めていく20点に作り手の意思が反映され、その人ならではの“味わい”が作られていく。そこに集中してほしいと思っています。
焙煎機を使えば、豆の温度変化や内圧が可視化されるので「こういう作業をしたから、この味になった」と分かります。焙煎した豆をその場でカッピングすれば「考えて、焼いて、確認して、修正して」と、コーヒーのPDCAを高速で回せるんです。どんどん次の手を試せるので、上達スピードが桁違いです。
自家焙煎に闇雲さを感じている方は、シェアロースターで「可視化」を味方につけて、自分だけの100点を生み出してください。
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■ブレないおいしさを目指して
手網やフライパンの焙煎、楽しいですよね。ただ、どうしても耳と鼻に頼らざるを得ないというか。カッコよく言うと、職人の勘ですね。僕も自家焙煎グッズは色々と持っていますが、毎回同じ味わいにするのはすごく難しいです。
焙煎機なら、毎回同じプロファイルで焼けるので味を大きく外すことはありません。豆は自然のものですし、天気や季節で調整は必要ですが、焙煎機による科学的な検証と、それこそ職人の勘を組み合わせて、おいしさを突き詰めてもらえればと思います。
せっかく個人で活動するなら、「いつ来てもおいしいな」と感じられる“ブレないおいしさ”を提供してほしいです。
それにお客さまが増えてきたら、自家焙煎ではいつか“量”が追い付かなくなります。焙煎機に豆を入れると水分が飛んで約14%減で出てくるので、1kg焼いた時の出来上がり量は約850g。それが自宅だと250gの焙煎で約210gなので、同じ量を作るには3回以上焙煎が必要です。
ファンが増え、卸の依頼がくる未来を見据えて、ぜひ検討してみてください。
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■ギーセンの焙煎機は火力が強い、でも焦げにくい!
NOGで扱っているのは、オランダの『ギーセン』の焙煎機です。焙煎の世界大会(WCRC)でも使用されている、世界的に評価されているマシンです。家庭用との最大の違いは、その「火力」。家庭用は電気熱のものが多いんですが、業務用はプロパンガスを使用して一気に燃えるので火力が段違いです。中華料理屋の炒飯のイメージでしょうか。あれは家だと作れませんよね(笑)。
ただ、火力がすごいということは焦げやすさとも表裏一体です。『ギーセン』は、内圧を一定にするために排気を自動で行なうので、他社のものより焦げにくいという特長があります。豆を焦がした時のやるせなさは、焙煎をする方なら経験がありますよね……。『ギーセン』なら、豆を大事に使っていただけますよ。
ちなみに、NOGは生豆の仕入れもしています。商社を通さないのでフレッシュで「豆って生鮮食品なんだな」と驚く味です。気になる方は試してみてください。
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■情報交換できるのも、大きなメリット
焙煎士はバリスタに比べ少ないので、他の人の焼き方を知る機会がほぼありません。日本語の文献も中々ないので、僕を含め「豆と自分」という孤独な世界に浸りがちです。
見習いの頃、店の仲間と味のチェックをする度「本来狙ってた味じゃないよね」「バリスタとして、これだと抽出しにくいかな」と意見をもらえたことは、今思えばとても成長につながりました。一人だと自分の作る味に対して甘くなったり、段々と目指す味からズレたりするので、意見を聞ける環境は大切です。シェアロースターには、一人でやっていては得られない“つながり”があります。
NOGでは新しい取り組みとして、焙煎士同士のカジュアルな情報交換の場を定期的に設けることにしたんです。一方的なセミナーでなく“場”を作ることで、コーヒー文化を盛り上げていきたいという想いではじめました。どのメーカーの焙煎機を使っている方でも参加できるので、まずはここから焙煎に触れてもらえたら嬉しいです。
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*シェアロースターで使用するのは、こちらの1kgサイズの焙煎機(Giesen W1A)です。
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