FOOCO メンバーインタビュー vol.4/ザ・ベイカーロブソン・伊藤さん
vol. 7 2022-09-26 0
「日本にないなら、私が作る! おいしいものは、みんなに伝えたいから。」
FOOCO メンバーインタビュー Vol.4/ザ・ベイカーロブソン 伊藤さん
「シェアキッチンを使っているのは、どんなひとで、どんなふうに活動しているんだろう」
シェアキッチンという選択肢を考えた時、まず思い浮かぶそんな疑問。
実際にFOOCOを利用しているメンバーに、シェアキッチンを使い始めたきっかけや、“シェア”ならではの良さ、これからの展望をお聞きしました。
インタビューのラストを飾るのは、《ザ・ベイカーロブソン》の伊藤さん。カナダのホームメイドスイーツである“バタータルト”を作っています。日本では馴染みのないスイーツですが、ザクザク食感のあまじょっぱいタルトはやみつきになるおいしさ。本業は広告デザイナー、根っからのお酒好きだという伊藤さんが、どうして全くの畑違いであるお菓子づくりをはじめたのか。お話を伺いました。
文・写真=炭田友望
【お話を聞いたひと】 the BAKER Robson(ザ・ベイカーロブソン)/伊藤さん https://www.instagram.com/robsontart445/ カナダのホームメイドスイーツ『バタータルト』のお店。キャラメル風味のフィリングが詰まったザクザク食感のパイ風タルトは、食べる手が止まらなくなるおいしさ。いかにも外国のお菓子という見た目とは裏腹に、自然素材&グルテンフリーなのも嬉しい。焼き立ては香ばしくさらに格別なので、是非『FOOCO』でお試しを。 |
■コロナを経て思い出した、カナダの“国民的スイーツ”。
伊藤さんが作っているバタータルトは、メープルキャラメルをザクッとしたタルト生地に焼き込んだ、カナダ生まれのお菓子。日本ではあまり馴染みのないスイーツだが、なにか想い入れがあるのだろうか。
「昔、ワーキングホリデーでカナダに行っていたんです。バタータルトはその時に食べて、『おいしいなぁ~日本でも探せば買えるのかな~』と思ってたくらいで、完全に存在を忘れていました(笑)。コロナでおうち時間が長くなり、アルバムを整理していたら思い出したんです」
それがきっかけとなり、バタータルトが「またカナダに行ったら食べたいな」という存在から「日本にはなさそうだし、作ってみるか」に変わったという伊藤さん。ただその時、お菓子づくりの経験はなかったそう。
「お酒が大好きで、コロナ前は友達と飲み歩いてばかりでした。外食が難しくてもおいしいものが好きだし、家にいてもやる事がないから、ひたすら料理をして。
パンが好きなんですが、小麦粉がどうも私の体質には合わなくて、数年前からグルテンフリーを心掛けていたんです。それもあり、おうち時間に“米粉パン”にも挑戦したんですが、何度やっても膨らまないし、ボソボソするし、全くおいしくなくて(笑)。それで余った米粉で“バタータルト”を作ってみたら『これならイケそう』と思える出来だったんです。
コロナと米粉パンの失敗があって、生まれたバタータルトですね。今も試作と改良を続けながら作っています」
めげずに試行錯誤する伊藤さんの姿に、「おいしいものが好き」というシンプルな想いを感じる。
「おいしいものを見つけたら、『これおいしいよ!』ってみんなに伝えたくなっちゃうんです。でもバタータルトは私がいくらおいしいって言っても日本に現物がないから、自分で作るしかなくて。『おいしいから食べてみて』という一心です」
あはは、と笑う伊藤さん。お友達には「チャレンジャー」と称えられたり、「怖いものなし」と揶揄われたりするそう。だがそんな伊藤さんだからこそ、バタータルトは生まれたのだろう。
たとえお菓子づくりの経験がなくても、「好き」という気持ちはなによりの原動力になる。当たり前だが大切なことを、伊藤さんは教えてくれた。
■ガスオーブンを求め、広告を打ち、英語のレシピを紐解く。
「おいしさ」のため、東奔西走。
バタータルトのおいしさを広めるため、自分で作り、売るようになった伊藤さん。いざはじめてみると、様々な課題に直面したという。
「最初のうちは『おいしいに決まってるから、ネットでも売れる!』って思ってたんです。メルカリの延長みたいな、軽い気持ちで(笑)。でもネットだと冷蔵での配送になるから、私が考える“おいしさ”とはちょっと違って。それで方向転換して、マルシェに出店するようになりました」
マルシェの出店は好調で、毎回買いに来てくださるファンの方もいたそう。
「でも今度は、タルトをもっとザクッとした食感にしたくて。その時使っていたシェアキッチンは電気オーブンしかなかったので、高温・短時間で焼けるガスオーブンがある『FOOCO』姉妹店の『基地キッチン』を利用するようになりました」
『FOOCO』をはじめ姉妹店には、様々なニーズに対応するため電気オーブンとガスオーブンが各一台ずつ揃っている。
ガスオーブンで焼いたバタータルトは、満足のいく仕上がりになったそう。自宅からキッチンまでの移動時間は30分ほど長くなったが、おいしさのためには苦にならなかったという。
▲念願のガスオーブンで焼いているところ。これはオリジナルのメープルキャラメルケーキ。
その次は「いちばんおいしい、出来立てを食べてほしい」という想いから、販売ワゴンを備えた『FOOCO』に活動の場を移す。
「『FOOCO』の前は人通りが多いので、販売面ではすごくチャンスだと思ってます。ただ、もっと多くのひとに食べてもらいたくて、今はInstagramを研究中です。ターゲティング広告の出稿や、プレゼントキャンペーンなど、色々と試してみています。いくらおいしくても、知らないものは買えないですもんね」
伊藤さんの本業は、広告デザイナー。だからこそ、“知ってもらう”ことの大切さが身に染みているのだろう。「《ザ・ベイカーロブソン》は自分がクライアントだから、ポスターやリーフレットを作るのも仕事より気楽ですよ」と、茶目っ気たっぷりに笑う。
ただひとつだけ、気になっていることがあるんだとか。
「昔食べた、うすーい記憶を頼りに作っているので『本当は違う味だったりして』というのは時々思います。日本では知られていないからレシピも見つからなくて、英語のレシピを自分なりに解釈したり、現地の方のブログを読んで試作しているので、余計に。間違いないおいしさだと、私は思うんですけどね(笑)」
《ザ・ベイカーロブソン》のバタータルトは絶品だが、まさかそんな悩みがあるとは。いつかカナダに行って、味の答え合わせをするのが夢だそう。答え合わせをした伊藤さんが作るバタータルトがどんな味になるのか、今から楽しみだ。
■インタビューを終えて
今回で、『FOOCO』のメンバーインタビューはおしまいです。
お読みくださった皆さん、ご協力いただいたメンバーの皆さん、ありがとうございました。
お話を聞いて感じたのは、どのメンバーさんも皆一様に、行動力が高いということ。
悩んだり迷ったりした時に、まずやってみることで道を切り拓いていく。そんな力強さを感じました。
クラウドファンディングは終了しましたが、気になる方は今からでも『FOOCO』の扉をたたいてください。
その行動はきっと、自分が思い描く未来につながることと思います。
個性豊かなメンバーと、お菓子とコーヒーが好きな運営チーム一同が、あなたをお待ちしています。