【2018年度活動報告】友の会初年度を振り返って
vol. 6 2019-06-03 0
こんにちは、烏丸ストロークロックです。
烏丸ストロークロック、初の試みとなりました2018年度「烏丸ストロークロック友の会」へのご参加と厚いご支援を賜り誠にありがとうございました。
2018年度の会期の終わりに、烏丸ストロークロック一同改めまして、この場をお借りして御礼申し上げます。
そこで、このたび烏丸ストロークロック友の会と烏丸ストロークロックの2018年度の詳細な活動報告を以下に掲載いたしましたので、ぜひともご覧くださいませ。
京都と東京における『まほろばの景』の上演後、2018年度の烏丸ストロークロックは次の創作活動に向けての種まきと水やりといえる活動に徹しておりました。この年、唯一の上演作品となる『烏丸ストロークロックと祭 祝・祝日』は、近年私たちの興味を惹きつけてやまない「神楽」に焦点を絞り、これまでのカラスマ作品の中心であり、また評価の対象でもあった膨大なモノローグと会話劇を一度封印し、「言葉の無い場所」「演劇という行為」「神楽に潜む芸能の原初」を探るべく、全編神楽だけを踊り通すという挑戦的な作品となりました。そのなかでは、クラウドファンディングの骨子であった、地域の垣根を超えた俳優・クリエーターとの協働として、仙台・広島両公演ではそれぞれの地域で演劇活動をする俳優と滞在制作に取り組み、かつその土地の文化や土着的文脈に触れながら、私たちの向かう創作の在り方に手応えを感じたものとなりました。
劇団の創作以外でも、2018年度は三重県文化会館の事業で、ミエ・演劇ラボ×烏丸ストロークロックが新たにスタートしました。20代~60代まで仕事も趣味もバックグラウンドも様々なメンバーとの三年かけた創作のはじまりです。また、広島では柳沼が広島の演劇人とのワークショップを通して三年間じっくりと向き合ってきた、広島の原爆投下と平和とをテーマとする作品『新平和』が2019年6月に本公演を迎えます。
これらの活動を経て、2020年初春には、『まほろばの景』を再創作し、兵庫・東京・三重・広島の四都市で上演します。『まほろばの景』をめぐる創作も三年目になります。すべての活動と出会いを積み上げ、新たな山頂を目指す旅が始まります。ぜひまたその旅路をご一緒できましたら嬉しく思っております。
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『まほろばの景』振り返り座談会
2018年3月25日@京都、4月22日@東京、4月28日@広島
『まほろばの景』(2018年2-3月)の上演を終えて、京都・東京・広島の3箇所で行いました。本番の映像を見ながら、ざっくばらんに作品についてお話する機会となりました。
まずは、どのようにこの作品が立ち上がっていったのか、取材させていただいた亘理町(宮城県亘理郡)の「牛袋法印神楽」の稽古場見学で、仕事帰りのおじさん達が汗に塗れて舞う姿に魅了されたこと。知的障害を持つ方や自閉症の方を支援する施設「のぞみ苑」で、独自の文化を持っている人とつながる瞬間があるお話を聞いたこと。「音楽と物語」のリーディング公演で、チェロ奏者の中川裕貴氏と共に、音楽が物語のバックグラウンドミュージックではなく、音と言葉がもっと有機的に交わっていくことへ挑戦したことなどをお話しました。
『まほろばの景』の作品については、「あの水はいつ、どうやって溢れてきたのか?」「どんな稽古をしているのか?」「山岳信仰ってどういうことなのか?」「福村が抱える《うしろめたさ》がよくわかる」など、参加者の皆さんからいろんな質問や感想をいただきました。
今まで私たちは作品を上演した後、実際にお客様とゆっくり作品についてお話する機会がなかったので、とても新鮮で、作品について客観的に捉え直す貴重な時間となりました。遠方からも足を運んでくださる方もおり、たくさんご参加いただきました。
『まほろばの景』メイキング&公演映像・創作記録&台本・烏丸ストロークロックの現存する過去の戯曲全て、製作と発送
2018年8月
「メイキング&公演映像」
メイキング映像では、2017年夏の仙台取材・滞在製作から2018年の上演にいたるまでの創作現場を記録しました。演出助手の方にも協力頂きながら、初めて自分たちで撮り続けました。常にカメラを向けていたので、膨大な記録映像が今も残っています(笑)。
「創作記録&台本」
メイキング映像と同様に、2017年夏からの創作の記録を柳沼昭徳へのインタビュー形式でまとめました。客演として参加してくれた、小菅紘史、小濱昭博、松尾恵美、そして音楽・演奏の中川裕貴の特別インタビューも掲載。編集には長く我々の作品を観、また活動に寄り添っていただいている大堀久美子氏が入り、とても上質な内容となりました。
「烏丸ストロークロックの現存する過去の戯曲全て」
2010年『八月、鳩は還るか』から2017年『まほろばの密』までの短編・長編全ての戯曲(13作品)を収録しました。各公演ごとに販売している作品もあったのですが、まとめて戯曲集にするのは初めてで、かなり希少な冊子となりました。最初は「全て自分たちの手作りで創りたい!」と意気込んで手製本を何度も試しては失敗して試しては失敗して…結局うまくいかず…(涙)。最終的には印刷会社できちんと製本してもらうところに落ち着きました。餅は餅屋ですね。
シークレット試演会を開催
2018年10月14日@東京、10月28日@京都
新作公演「烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』」の作品に向けて、「音楽と物語」の第二弾としてリーディング形式で試演会を行いました。
主人公である「わたし」が、東北は南三陸出身の「あなた」へ宛てて書き綴られた書簡を軸に描きました。震災を経験した者(あなたの母)と経験していない者(あなた)が、亡くなった父親を荼毘に付すため、無言の車中、炊き出しのコーヒーを飲む時間を過ごす。言葉のない場所。戦後の詩人である石原吉郎の詩やシベリア抑留の中で経験したことを引用しながら、「言葉のない場所」の中で生き死にについて思いを巡らせていく作品となりました。
烏丸ストロークロックと祭『祝・祝日』滞在制作と上演
2018年11月24-25日@仙台、2019年1月18-20日@広島
仙台と広島、それぞれ2週間ずつ滞在をして、現地の俳優さんとともに製作をしました。仙台では駅や街中で現代人の身体を観察したり、広島では安芸高田の吉田神楽団の稽古場を見学させて頂いたり、滞在場所の集落の「とんど」という行事に参加させて頂いたりしながら、人の営み・生活・神楽・身体について考える時間を共に過ごしました。
神楽について徹底的に向き合い、今後の私たちの創作の起点となる「身体性」についてじっくりと着手できた作品となりました。
ちなみに、ご支援いただきました皆様のお名前をこの「祝・祝日」の幕間にて、柳沼による口上で舞台よりお礼を申し上げさせていただきました。
写真1-2枚目(『祝・祝日』2018年11月@せんだい演劇工房10-BOX 撮影:相沢由介)
写真3-4枚目(『祝・祝日』2019年1月@広島市東区民文化センター)
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