第6回トランシルヴァニアから伝統刺繍を広めたい!
vol. 8 2025-03-21 0
フォークロアの宝庫であるトランシルヴァニア地方。
現地では手仕事の担い手が高齢化し、その存続が危ぶまれています。
お年寄りのおばあさんたちは 人々との交流の機会も失われている現状ですが、
現地のおばあさんたちを元気にしつつ、
私たちも手仕事のメッセージを受け取り、お互いを活気づけるプロジェクト。
現地に17年在住の伝統手芸研究家が皆さまとトランシルヴァニアのおばあさんたちとの
橋渡しをして、皆さまに手仕事の素晴らしさをお伝えます。
こちらの企画も、今回で第6回を迎えることになります。
カロタセグ上地方ドロンワーク刺繍(1日目)
トランシルヴァニア西部、カロタセグは手仕事の文化で有名なところです。
しつらえベッドを飾るのは、古くからヴァグダラーショシュと呼ばれる
ドロンワーク刺繍がほどこされたベッドカバーでした。
19世紀末から20世紀初めにかけては色糸が使われることもありましたが、
フォドルヴァ-ソンと呼ばれる細やかな皺のある手織りのオオアサ布に、
白い刺繍がほどこされたものが一般的です。
クロスステッチやストレートステッチなど、様々な技法に取り入れることができます。
カロタセグ上地方で暮らすドロンワーク刺繍職人ペーテル・チッラさん、
伝統刺繍研究家のペーテル・モニカさんをお迎えしてワークショップを開催します。
30㎝サイズの小さなクロスに仕立てる予定です。
「窓のステッチ」、「ケシの実のステッチ」、葉っぱのステッチなど
ヴァグダラーショシュの基礎から丁寧に教えていただきます。
カロタセグ下地方イーラーショシュ(2日目)
トランシルヴァニア西部、カロタセグに伝わる伝統刺繍イーラーショシュ。
その魅力は、赤や黒、青、白による単色のステッチと、
太いコードのようなラインを生かしたヴァリエーション豊かな図案にあります。
下地方のおばあさんたちばかりが生活する小さな村から、
現地のおばあさんたちと一緒にイーラーショシュの魅力をお届けいたします。
ペトリ村在住の4名のおばあさん講師をお迎えして、ワークショップを開催します。
「イーラーショシュ、愛のポケット」と題して、
この12月に火災に見舞われた集会所のために力を合わせて、
オリジナルのポケットを作りましょう。
この講習のために特別にデザインをしてもらった図案を使い、
バッグや洋服、タペストリーなどアイデアでいろいろな所に、
イーラーショシュのポケットをつけることができます。
ジノルと呼ばれる基本のステッチ、ドットや花びらなど細やかな部分のコツや
縁編みのニードルレース、ニードルレースを平面部分に活かした透かし模様のステッチなど、基礎から応用まで丁寧に教えていただきます。
バルツァシャーグ地方ドロンワーク刺繍(3日目)
バルツァシャーグ地方は、ハンガリー人、ルーマニア人、ザクセン人の3つの文化が入り交ざった、まさにトランシルヴァニアの縮図のようなところです。
女性はザクセン人の影響を受けた、ワンピース風のブラウスを装いましたが、男性はルーマニア人の影響を受けた、丈長のシャツに帯をしめる装いです。
この地方特有の民俗衣装から、男性のシャツ部分に見られるシュブリカ刺繍をします。
黄色い刺繍と、繊細なすかし模様の美が魅力です。
シュブリカはドロンワークの一種で、カロタセグでは、女性のブラウスに見られます。
アームバンドやチョーカーにしてもいいですし、
カフス部分を作って、衣装づくりに活かすこともできます。
講師は、バルツァシャーグの衣装職人グドゥリ・アンナさん。
前回はクロスステッチ刺繍で巾着を作りましたが、今回は衣装づくりのお話も伺うことができます。
今回は、バルツァシャーグの著名な芸術家マルギットおばあさんの生誕100年を祝う記念事業の一環としてしつらえた展示場を舞台に、マルギットおばあさんの娘さん二人もお招きしてワークショップをお届けいたします。
刺繍のワークショップだけでなく、バルツァシャーグの伝統文化やマルギットおばあさんの人生や作品についてもお話を伺う予定です。
シク村のアウトライン刺繍(4日目)
最終日はフォークロアの宝庫と呼ばれるシク村を舞台に、
赤い刺繍として知られるアウトライン刺繍をお教えいたします。
シク村の清潔の部屋を彩るアウトライン刺繍、その独特の線の密集により生まれる美の世界。
シンプルな技法ではありますが、それだけに奥が深くもあります。
私が初めてシク村の文化に触れたエルジおばあさん宅にて行います。
エルジおばあさんはシク村最後の機織り職人でもあります。
夏に機織り、冬に刺繍をして何十年もの時を過ごしてきました。
アウトライン刺繍の手ほどきを受けながら、手仕事と過ごしたその人生の秘訣を尋ねてみましょう。
今回は、伝統図案を使い、正方形サイズの小さなクロスに仕立てます。
刺繍枠を使いますので、ご準備くださいませ。
トランシルヴァニアのワークショップで刺繍の旅へ出かけませんか?
*資金の関係上、1つのWSにつき20名以上集まった時点で決行とさせていただきます。
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