発見された映像
vol. 3 2026-10-15 0
著書『芸術と非芸術の間』(1970)に飯村さんが1966年に米ハーバード大の夏のセミナーで制作したフィルム《アマ・アタ》について書かれている箇所があります。この記述について気になったので、生前の飯村さんに質問をしたことがありました。酒席であったこともあり、少しはぐらかされて、フィルムも残っていないようなことが返ってきて、見ることができず残念に思っていました。
ところが亡くなられたあと、フィルムの整理作業する中で、「アマ・アタ」と記載されたフィルム缶が発見され、今年の夏に中身を確認することができました。
フィルムには、ボストンの街中にアメリカ建国や南北戦争時代の偉人たちの彫像や記念碑が数多く建っているなか、飯村さんと同じフィルム制作セミナーに参加していたガーナ出身で詩人の黒人女性アマ・アタさんを対比させるように映し、彼女自身を台座の上に立たせて、白人中心的な当時の社会に対する一種の反モニュメントに仕立て上げる様子が収められていました。陽光を露出オーバー気味に撮影している画面と彼女自身の皮膚の色が際立つ存在感を示し、そればかりでなく飯村さんがこの時期に多用した多重露光によるシーンや、記念碑のレリーフと思われる「IN MEMORY OF...」という文字をカメラが行き来し、そのうちにものすごい速さで文字が判読できなくなるという場面など、その後の作品に散見される文字と空間の問題の萌芽とも取れる手法が試されていました。
もう見ることができないかもと思っていたこのような映像フッテージが60年の時を経て再発見され、その一部をドキュメンタリー映画「S P E A K I N G I N I I M U R A」で少しでも皆さんに見て頂ければと思います。(T)
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