映画『蹄』撮影カメラAG-DVX100について
vol. 10 2017-02-26 0
映画『蹄』撮影カメラAG-DVX100についてご紹介します!
本日は映画『蹄』を撮影したカメラをご紹介します。
撮影したカメラはPanasonic社がおよそ15年前に販売したAG-DVX100(以下:DVX)というカメラを使用しています。
このカメラはもちろん4Kやデジタルハイビジョンで撮影できるわけではなく、且つ撮影素材はDVminiテープといった60分までしか撮影できないテープです。
このカメラは多くの著名な監督に愛されました。ペドロコスタ、レオスカラックス。
しかし時代とともに手軽に綺麗に撮れるカメラが主流となってきました。世の中に「綺麗」と称されるカメラが沢山ある今、なぜDVXだったのでしょうか。
「DVXで撮るということ」
昔、映像は今ほど身近な存在ではなかったように思う。おそらくスマートフォンの登場で私たちは映像と向かい合うことが圧倒的に増えた。映像を撮るという行為も今では生活の中にごく当たり前にある。それらはとても良い画質で撮ることが出来、私たちの認識の中で良い映像=画質が良いのはあまりに当たり前のことだ。
わたしは近年、常々映像美と謳われるものに違和感を感じていた。わたしの目は世界に流れる様々な高画質の映像たちに慣れ、よく見えないことに、ごく自然に違和感、恐怖を抱くようになった。
リアルであること、現実により近いことが映像に求められるようになってきていると思う。
しかし、わたしの中のイメージとしてある映像は、いつも曖昧な形をしていた。ざらついていて、見えにくいものの方が多かった。
この映画を撮るとき、カメラマンとどんなカメラを使うかという話をした。当初撮影を予定していたカメラで撮影テストをした時、私はその映像のあまりの鮮明な美しさにショックをうけた。
映像への手触り。匂い。温度。湿度。鮮明に映ったその映像からそれらが距離を感じてしまうのはなぜだろう。
私は自分の美しいと思うものを、ただ撮りたいと思った。今は色んなものが見えすぎている。映らないこと、映さないことを大切に。頭の中を映画にするということをただ目指した。
そんな時、私のイメージに一番近かったのはDVXというカメラだった。
監督木村あさぎ
このカメラと使うということはとても大きなリスクでした。
本作品には野外、ましてや代表的な灯火採集のシーンは夜の野外シーンです。そんな中でセンサーが強くないDVXを使う場合、照明やそれに伴う発電機など様々な弊害がありました。また離島で撮影するにあたり、その膨大な機材を全てフェリーで輸送しなければなりませんでした。
しかし監督の思い描く映画とその姿勢に制作スタッフは賛同し、数々の弊害を乗り越えてこの映画は制作されました。
このご時世に見えづらい映画ということで大きなカケかもしれません。ただ、木村が求めたイメージの片鱗は確かに形になりました。
どうか劇場で木村あさぎのイメージする映画をご覧ください。
本作品は監督木村のイメージを妥協なく形にするため多くのコストとリスクがかかってしまいました。現在この作品をなんとか上映に持っていくために制作支援プロジェクトを行っております。
映画『蹄』の制作支援プロジェクトも残すところ3日となりました。
現在達成率70%を越えてきています!
この時代の異端児とも言えるこの作品を世に出すため、どうか応援よろしくお願いいたします。
映画『蹄』製作委員会