Good bye 2017!!
vol. 21 2017-12-31 0
こんばんは。短篇アニメーション「火づくり」の監督の松浦です。
2017年も最後の日がやってきました。皆さんは、いかがお過ごしでしょうか?
2017年は、皆さんにとって、どんな一年でしたでしょうか?
僕はやはり何と言っても、生まれて初めてのクラウドファンディングに挑戦して、皆さんのご支援を通じて、作品制作を始められたことが、何よりのビッグイベントでした。
インターネットやSNSの使い方については、かなり疎い方だったのですが、失敗を恐れず、挑戦してみて、本当に良かったです。
制作の進行状況において、実は、様々な問題やトラブルがあります。詳しくは、次回のアップデートでお伝えいたしますので、もう少々、お待ちください。
話は変わりますが、先日、とあるアンケートに回答する機会がありました。
年齢、性別、居住地域などを入力した後、「職業」の「業種」を選ぶページに進んだ時、僕は少し悩みました。
「アニメーションって、何なんだろう?」
強引にいってしまえば「IT」とか「メディア系」になると思うのですが、自分が抱いている身体感覚と、それらの言葉がなかなか噛み合いません・・・
「IT」ってほど固くはないし、「メディア系です」って言えるほど、積極的にメディアを使えてもいない・・・
「一つのモノの見方で、世界の全てを記述できるわけがない」という考え方には同意できますが、世の中を回していくためには、「とりあえず」でもカテゴリーや、名前をつけて、運営していく方が合理的みたいです。
名前がないものは、そのもの自体を論ずることができないし、他人に説明することもできない。だから、人類は、言語を発明したんですよね。
同じ理由で、フリーランスになった時、名刺の「肩書き」にずっと迷っていました。僕が身銭に変えてきた仕事や結果を見れば、「演出」とか「監督」って言えなくもないのですが、ひとつひとつの仕事の全てに、それぞれ異なる事情や人間関係があるので、これらの肩書きで表すべき内容を、きちんと表せているかどうかには、正直なところ、あんまり自信がないのです。
何が言いたいのかというと、今の自分の「職業」とか「肩書き」ってどういう言葉が適切なのか、よく分からなくなりませんか?という話です(笑)
近年は色んな技術の発達で「10年後になくなる職業」なんていう記事もよく目にしますし・・・
それでも、「職業とは、自分と世の中がどんな風に関わりあっているのか、その役割を説明するための言葉である」と仮定すると、もう少し、噛み砕いて、考えることができそうです。
僕が、「火づくり」を始めた一番の動機は「感動」です。
佐助さんの鋏の切れ味と、その制作工程、お仕事場の雰囲気や建物の佇まい、
そして何より、佐助さんご自身のお人柄・・・その全てに、僕は感動していました。
でも、詳しい理由は分からない。言葉で説明できそうだけど、どれだけ説明しても足りない気がする・・・
だからこそ、自分が感じたこの「感動」の正体を、何とか究明したい、という気持ちになりました。そして、その究明を行うのであれば、やはり、長い間関わってきたアニメーションという表現を使って取り組んでみたい、と思ったわけです。
世の中にある「アニメーション」には、多様な役割があります。
よくよく観察してみると、作っている人も、鑑賞して楽しんでいる人も、動機は様々なようです。
僕は自分を突き動かしている「感動」の正体をもっと知りたいし、あわよくば、それを少しでも多くの人に伝えて、共感してもらうことで、その「感動」を「おすそ分けしたい」と思っています。
僕が敬愛する、とあるデザイナーさんがこんなことを話していました。
「ある日、ドライブをしていた山道で、綺麗な夕焼けが見えて、歩いていた人も、車で通りかかった人も、ふと、歩みを止めて立ち止まり、その場にいた数人が、会話もなく、ただぼーっと、その夕焼けを眺めていました。世の中に『美しいモノ』は、たくさんあるけれど、ただ単に、沈んでいく夕陽に見とれて、ぼーっと眺めてしまうこと・・・そういう『心』が、私たち人間の中あることも、夕陽とおんなじくらい、美しいことなんじゃないか」
と、いうようなお話でした。
僕はこの話を聞いた時に、なんだかとても嬉しくなって、スーッとその場面が頭の中に映像として浮かび上がり、自分もその場に居合わせたような感覚になりました。そして、とても穏やかで、温かい気持ちになりました。
その頃から「アニメーションも、そういう存在になれたらいいなぁ・・・」と思い始めたのです。
「僕たちが生きているこの世界の美しさを、賞賛し続ける」
「火づくり」の制作を通じて、僕が心がけている事を、ちょっと強引に、一言でまとめれば、この言葉に集約されます。
とは言え、キレイごとばかりも言ってられないのが世の常なので、勿論、明らかな犯罪や暴力、迷惑行為等を、ひっくるめて肯定するつもりはありません。
世の中には、悲しい事件や事故が多いですし、それら全てを一つ一つ、取り上げて「人間はなんて愚かなんだ」という文脈に持っていくやり方も、個人的には好きではないです。
愚かでも、醜くても、ずるくても、やっぱり夕陽は美しいし、佐助さんの鋏の切れ味には、感動します。「うわっ!なんだこれ!すごい・・・」って・・・
そして、「切る」という技術の由来が、「人を殺めるもの(日本刀などの刀剣)」であることも、なんとも皮肉ですし、でも、両義性があって奥深いし、そして何より「美しい」と思ったんです。「人を殺めるための技術」だったのに、「美しい」のです・・・
体良くまとめてしまえば、「今までやってきたことを、全てなかったことにするのではなく、発想を転換して、別の使い方を見出した」・・・ということでしょうか・・・
インターネットの原型がミサイルの弾道計算だったことと、よく似ていると思いませんか?(ちょっと強引かな)
なので、今、世の中に存在している色んな技術や開発が、一見して、その時には「悪いこと」のように思えても、時間をかけて、さらに色んな立場の人の知恵や発想が加われば、人間にとって一番最適な形に落ち着いていくのではないでしょうか、、、ということも、常日頃、僕が感じている実感です。
何だか、まとまりのない文章になってしまいました。失礼しました。
職業云々の話に戻すと、僕は「感動屋」で居続けたい、と思っています。(職業「感動屋」って、どうでしょうか?・・・笑)
そして、アニメーションという表現で、「僕たちが生きているこの世界の美しさを、賞賛し続けたい」と願っています。
そして、夕陽をぼーっと眺めて「明日も頑張ってみようかなぁ」と、思えるように、柔らかく、やさしく、人の心に寄り添うような、作品を作りたい。
そのために、皆さんから頂いた大切な支援金を、日々の活動に使わせて頂いています。
改めて、本当にありがとうございます。皆さんからのご厚意は決して無駄にはしません。
こういう言い方は紋切り型の定型文のようでちょっと気がひけるのですが、「僕を信じて欲しい」と、思っています。
まだまだ、道半ばですが、完成に向かって、スタッフの皆と、力を合わせて、歩みを進めています。どうか最後まで、温かく見守っていてください。
本年は本当にありがとうございました。作品が完成した折には、是非、上映会場などでお会いしましょう。お時間や場所があれば、皆さんと美味しい食事を囲んでワイワイとお話ししたいです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
2018年も、皆様にとって素敵な一年になりますように・・・
寒い日が続くので、温かくしてお過ごしくださいね。
良い年越しを・・・
「火づくり」監督/松浦直紀