初の自主上映を岩手で開催
vol. 1 2017-04-07 0
岩手県で初の自主上映会!
2月24日金曜に岩手県葛巻町にあるモクモク(木木)ドームにて、初めての自主上映会を開催いたしました。
この上映会のきっかけは、新岩手農業協同組合様から「被ばく牛と生きる」の評判を聞きつけて、昨年12月に問い合わせメールを頂いたことが発端でした。その頃はまだ配給会社も正式に決まっていなかった段階なので、劇場公開前に自主上映を受けると、映画館が嫌がると聞いていたので、当初は迷いました。しかしわざわざ遠くから問い合わせをしてくれる気持ちをなんとか汲み取りたいと思い、交渉中の配給会社とも相談し、OKとなりました。
JA新いわては平成28年度の畜産酪農販売計画を達成した記念大会を開催する中で、同じ東北の福島で起きた悲惨な事故と畜産農家の苦悩は自分たちも理解しなくては…という強い信念でこの映画を観たいとのお話しを頂きました。
当日は200名を超える畜産酪農家の方々が集まり、主催者挨拶や年次報告の後、上映会が始まりました。事前に東北、岩手の人たちは本当に無口です。映画の感想なども、ほんとうに返って来ないかもしれませんが、気にしないでくださいと言われていました。岩手、昔の南部出身の人は「秘密を墓場まで持っていくほど口が堅い」そうです。そんな中、映画上映が終わり、午後からは簡単な宴会が始まりました…
映画の手ごたえも今ひとつ感じられなかったのですが、徐々にわたしの席に挨拶に来られる方が増えてきて、お話をしました。ここ岩手も原発事故で所々で放射能が高いホットスポットができていて、農作物や畜産酪農に影響が出ているそうです。さらに追い打ちをかけるように昨年の台風で大きな被害を受けたとか。
今は子牛の流通価格が数年前の倍近くになり、高値状態が続いているとか。全体的に畜産農家にとってはよいことですね?という私の問いに対する答えは「NO」。繁殖農家は利益が出ても、それを出荷するまでに肉牛とする肥育農家にしわ寄せがきているとか。最終流通値段がそれほど変わらない状況にあって、繁殖農家→肥育農家→精肉業界という流れでは肥育農家にほとんど利益がでない構造になっているようです。日々、生き物の生と死を扱う畜産酪農家の人には休みはありません。彼らと話す中で、食べるために育てるのではあるけれど、牛は家族という素直な気持ちを感じ取りました。
映画で出資した資金を回収するのは難しい時代に…
製作費はモーションギャラリーを通じて、一度支援いただきましたが、ほとんどは自費(会社の資金)なので、本音は少しでも回収していきたいという気持ちでいっぱいでした。大阪から福島や岩手、東京に通うこと40数回。ほとんどを機材を運ぶため車で移動しています。大阪ー福島の高速代は通常なら16000から18000円ほど。片道900キロなので、12-13km/lの私の車では70Lのガソリン代がかかります。なので高速代とガソリン代だけでも1回あたり5万円以上。撮影機材は全て持っているものの、現地の宿泊費や食事、それに同行するカメラマンの日当を支払えば1回15万円の費用がかかります。撮影だけでもその積み重ねを40回程度。他様々な費用を合わせると700万以上を出費しています。ここに自分の人件費を入れると1000万円をゆうに越します。
そういった中で劇場公開しても、こういったドキュメンタリー映画を観ようとするお客さんは多くはありません。エンターテイメント映画と違い、若者や家族連れで観るような映画とは違うからです。チケット代の半分は映画館に。残り半分を制作者と配給で分ける。さらに配給宣伝費がかかる…我々ドキュメンタリー映画を作りたい人間にとっては、茨の道ばかりです。こんかいの経験を通じて、そういった仕組みや事実を知りました。
ドキュメンタリー映画は心に滋養を与える
製作者自身が心血を注ぎ、ある程度中味も評価いただき、質が高い作品に仕上がったと信じる映画なら、出来るだけ多くの人に見てもらいたい。難しい時代にあって、ドキュメンタリー製作者はみんなそう思っています。
世論調査では54%程度の人が原発に反対しているのに、何も変わらない世の中の構造っておかしくはないですか?私の力は数多いる蟻一匹程度でしかありませんが、この映画を支援してくださる皆さんと一緒に声を上げ続けていきたいと思っています。
生き物の命を大切にする心は、人間が成長するためには滋養となるとても大切な要素です。
こういった労わる気持ちや心が戦争を回避することにつながると私は信じています!
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