コラム16:巻通しで読む平家物語(5月分)
vol. 29 2023-11-02 0
皆様こんにちは、鈴木まどかです。
5月13日に語った句を使いながら、平家物語全体のあらすじを確認します。
「巻通し」だからできる、平家物語の楽しみ方です。
投稿したいと思いつつ、こんなに遅くなってしまいました。
太字は、巻数とタイトルと、巻ごとの主題です。
巻之一:鱸(すずき)
平家一門が繁栄する。鹿ケ谷事件が起こる。
平清盛の出世は、熊野詣の船に鱸が踊り入る吉兆からである。
巻之二:卒都婆流(そとばながし)
鹿ケ谷事件の首謀者たちが処罰される。俊寛や康頼は鬼界が島に流される。
康頼が和歌を書いて海に流した卒都婆が、厳島神社に漂着する。
巻之三:城南離宮(せいなんのりきゅう)
のちの安徳天皇が誕生。後白河法皇の処遇がなかなか決まらない。
高倉天皇の在位を支えに、法皇は城南離宮(鳥羽殿)で冬を越す。
巻之四:鵺(ぬえ)
源頼政は以仁王(もちひとおう)を即位させようと謀反を起こす。
頼政は和歌の名手で、二度の鵺退治をしたことでも有名である。
巻之五:朝敵揃(ちょうてきぞろえ)
鎌倉の頼朝が以仁王の令旨を得て挙兵し朝敵となる。
我が国で朝敵となった者は二十余名あるが素懐を遂げた者はない。
巻之六:紅葉(こうよう)
高倉上皇が崩御された。
幼い頃から高倉天皇は仁徳に優れ、大切な紅葉を焼いた役人を咎めなかった。
巻之七:木曾願書(きそがんじょ)
木曾義仲が挙兵。北陸経由で京へ上る。
義仲が埴生の八幡に平家追討の願書を納めると、山鳩が飛来する。
巻之八:宇佐行幸(うさぎょうこう)
義仲軍に追われた平家一門は西国へ都落ちしていた。
筑紫へ落ちた安徳天皇は、宇佐神宮へ行幸なる。
巻之九:生好(いけずき)
京の義仲は評判が悪く、頼朝は鎌倉から義仲追討軍を送る。
頼朝は佐々木高綱に名馬生好を、梶原景季に名馬磨墨を与える。
巻之十:高野巻(こうやのまき)
一の谷の合戦後、平維盛はひそかに高野山へ向かう。
維盛は滝口入道に出家を望んでいることを話し、奥の院に詣でる。
巻之十一:鶏合(とりあわせ)
屋島の合戦、壇ノ浦の合戦が起こる。
熊野別当湛増は赤と白の鶏を闘わせて占い、源氏へ参る。
巻之十二(灌頂巻):御往生(ごおうじょう)
平家は滅亡する。建礼門院は出家し寂光院に入り、終に往生なさる。