コラム10:巻通しで読む平家物語
vol. 13 2023-09-22 0
皆様こんにちは、鈴木まどかです。
本日は、10月21日に語る句を使いながら、ざっと平家物語全体のあらすじを確認してみます。
「巻通し」だからできる、平家物語の楽しみ方です。
巻之一:神輿振(みこしぶり)
鹿谷事件が起きる。これに加わった西光の子・師経は、延暦寺の末寺の風呂に乱入する。この詮議が長引き、僧達は神輿を振り皇居乱入を計る。
巻之二:一行阿闍梨(いちぎょうあじゃり)
鹿谷事件その後。西光父子の讒言で、天台座主が無実の罪で遠流となる。玄宗皇帝の御持僧の一行阿闍梨も、ぬれ衣で流罪となっている。
巻之三:公卿揃(くぎょうぞろえ)
清盛の娘で高倉天皇の后となった徳子が皇子(安徳天皇)を出産。そのお祝いで、三十三人の公卿が直衣を着て六波羅に参る。
巻之四:厳島還御(いつくしまかんぎょ)
安徳天皇に譲位した高倉上皇は、厳島に詣で清盛の心を和らげる。上皇が都へ帰られると安徳天皇が即位する。
巻之五:文覚強行(もんがくあらぎょう)
文覚は毒虫の中に伏し、冬の滝に打たれる荒行をした験者である。法皇の管弦の席を荒らしたため、伊豆の国へ流罪となる。伊豆の頼朝が挙兵。
巻之六:祇園女御(ぎおんにょうご)
清盛が熱病で亡くなる。忠盛が白河院より御最愛の祇園女御を賜った後に清盛が生まれたので御落胤とも言われている。
巻之七:山門返牒(さんもんへんちょう)
義仲が挙兵し、比叡山に与力してもらえるか牒状を出す。比叡山から、近年勢いのある源氏に強力すると返牒がある。
巻之八:緒環(おだまき)
義仲に負けた平家一門は筑紫へ落ちる。九州の緒方氏の先人に通う男は、緒環で辿ると明神の神体の大蛇だった。
巻之九:宇治川(うじがわ)
京都の義仲を鎮圧するため頼朝が兵を送る。義仲軍は宇治川の橋板を外す。義経郡の佐々木高綱が先陣の名乗りをあげる。
巻之十:横笛(よこぶえ)
一の谷の合戦後、平維盛は密かに熊野へ向かう。このとき関わった高野聖の滝口入道は、徳子の雑仕・横笛との愛に苦しみ出家した人物である。
巻之十一:大坂越(おおさかごえ)
義経は屋島の平家軍を攻めるため、逆櫓のない船で阿波に渡り、すぐに阿波と讃岐の境の大坂を越える。
巻之十一:嗣信最期(つぎのぶさいご)
屋島の合戦で、佐藤三郎兵衛嗣信は義経の矢面となり、教経に射られて死ぬ。
巻之十二:女院御出家(にょういんごしゅっけ)
壇ノ浦の合戦後、生捕りとなっていた徳子は、東山の麓の吉田で出家する。