まんしゅうきつこさん来訪(岩根彰子)
vol. 26 2017-07-08 0
7月6日(木)、いよいよ蒸し暑くなってきた BUCKLE KOBOのアトリエで制作中の根本さんのもとに、お客さんがいらっしゃいました。
8月2日(水)に渋谷のLOFT9で開催されるイベント「いまだかつて地球上に存在しなかった絵を描く=根本敬ゲルニカ計画の全貌!」にゲストとして出席してくださる漫画家のまんしゅうきつこさん。
イベント前に絵を拝見しておきたくて、ということで京浜島まで足を運んでくださいました。
まずは「はじめまして」の挨拶を交わすお二人。初対面というのは意外でしたが、実はまんしゅうさん、根本さんの大ファンでトークショーにはこれまで何度も足を運んでいたとのこと。
「本当に、根本先生からはものすごく影響を受けているんです」と、根本さんが監督した映画『さむくないかい』の話から、亀一郎さん、佐川一政さんといった名前も飛び出し、話が弾みます。
また、LOFT9でのイベントに話が及ぶと、根本さんから当日のもう一人のゲスト・櫛野展正さんとのつながりが語られました。
広島県福山市でアウトサイダー・アートのギャラリー「クシノテラス」を主宰している櫛野さんは、日本唯一のアウトサイダー・キュレーター。2013年に鞆の津ミュージアムで開催された展覧会「ようこそ鞆へ! 遊ぼうよパラダイス」に根本さんも参加したのが縁で知り合ったそうです。
「彼らは本当に心の底から描きたいものを描いてる。それに対して僕なんかは生活のこととかお金のこととか考えちゃう。こんな下心がある自分は、どうしたってあの人たちには敵わないですよ」
そんな根本さんに、「根本さんも欲得とは全く関係ないところで、自分の興味があることをつきつめているように思いますけど……」と、まんしゅうさん。
前述の鞆の津ミュージアムでの展覧会に根本さんが出品した作品は、過去のフィールドワークで出会ったいろいろな物を展示する「根本敬ミュージアム」。本人はこれを振り返って「正面からぶつかったら絶対に負けるので、逃げたんですよね」と言います。
まんしゅうさんがおっしゃるように、根本さんの因果への関わり方は欲得とは離れているように思えますが、絵を描く、という行為だけを考えると、いわゆるアウトサイダー・アートの描き手に比べて切迫感が無いと感じているのかもしれません。
とはいえ、そんな話をしていたしばらく後に、根本さんから零れるように出たこんな言葉が印象的でした。
「それでも僕もこれしかできない、という面はあるのかな。お金のこととか考えちゃうけど、それでもこれしかできない」
さて、ご存知の方も多いでしょうが、まんしゅうさんはゲルニカ計画の公式カメラマン・江森康之さんの実のお姉さん。
「もともとこの子(弟)は私の本棚から根本さんの本を持って行って読みはじめたんですよ」なんていう裏話も飛び出しました。さらにまんしゅうさんから、江森さんが10年来、根本さんの原画を家に飾っていることが明かされ、「……それは内緒にしてたのに……」と江森さんが地味に恥ずかしがる一幕も。
そんな根本さんとまんしゅうさんのもっと突っ込んだおしゃべりや、さらに深いアウトサイダー・アートの話などは8月2日のLOFT9のイベント「いまだかつて地球上に存在しなかった絵を描く=根本敬ゲルニカ計画の全貌!」でぜひ!
▲帰り際に記念撮影!
岩根彰子(撮影:江森康之)