映画監督の三上智恵さんのご感想をご紹介します!
vol. 17 2024-07-19 0
SNSへの投稿をシェア!本文は画像のあとに貼り付けています。三上監督、ありがとうございました!
パイナップルツアーズ
以来のお付き合いである
真喜屋力監督の初の長編
「劇場が終わるとき」
首里劇場を巡る
ドキュメンタリー作品です
那覇の路地裏の
これまた素敵なたたずまいの
punga pongaで開かれた
小さな試写会で
光栄にもひと足先に
見せていただきました
沖縄に関わって48年
暮らして30年
わたしも、かつての沖縄
今はもうない沖縄について
誰かに証言したりする側に
若い人にはわかってもらえないだろうなーと,諦めたりする側に
半分足を突っ込む
そんな年代になっている
そんな
アラカンの私だからこそ
だからと言って
単純なノスタルジーなんかに
ハマったら終わりだ
そんな憐憫とした表現には
乗せられないぞ
という
反発もある
でもそんな警戒は
この作品には不要だった
忘れてしまいたくない光景
消えてほしくないもの
朽ちていく運命だと
受け入れたくないこころ
人生の後半は
そんなものと
一つ一つさよならしていく
そういう時間を重ねる日々に
また愛おしさを感じて
人は歩んできた道を
肯定するのかもしれない
色褪せた
ピンク映画のポスター
めくってもめくっても
淫靡なコピーと共に
下着姿の女性が映っている
この豊満な肉体の主は
もうこの世にさえ
いないかもしれない
性が弾けるような
さらばんじのピークがあり
そのあとは
人間も
劇場も
ある出来事も
ゆっくりと朽ちていく
そんなエロスな女優たちの
残滓を身に纏って踊る
ストリッパー牧瀬茜は
どこか神がかって
最後に首里劇場に
真っ赤にたぎる命を吹き込む
女神のように見えた
大衆芸能に沸いて
任侠映画を楽しんで
ポルノを覗きに来る少年や
名画座に通うかつての若者
その熱気が微熱となって
再び劇場がぽっと魂を宿す
石川真生さんと
牧瀬茜さんが
起こした奇跡のレクイエム
そんな瞬間が
首里劇場のフィナーレに
あって本当に良かったと
この劇場に染みついた
記憶たちと共に、私も
喜ぶことができた
そんな不思議な時間でした
全てのものは
移り変わりゆく
万物流転
諸行無常
でも一つ一つの物事との
丁寧なお別れの仕方を
見せてもらった気がしました
ちなみに私は
首里劇場は外から眺めたことしかなく
特にエピソードは持ってない
それでも
こんなことを感じました
全く知らない人にも
真喜屋監督にしか撮れない
魔法のレクイエムを
体感して欲しいです
桜坂劇場で秋から公開
年明けに東京ユーロスペースで
みられるそうですよ!