撮影日誌① 9月25日(金)
vol. 12 2015-10-27 0
監督の高野です。編集が進んでいます。すごいもん撮ったなあと思っています。
同時に、撮影の時のことも思い出しています。
忘れてしまうのももったいないので、思い出したことを書き連ねてみようと思います。
よければ、お付き合いください。
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前日の雨予報が見事に当たり、おまけに強風が吹き荒れている。大島の風、恐るべし。屋内のシーンから撮ることにする。ロケ地のIレンタカーさんに電話して、昼からの撮影を朝イチに変更してほしいとお願いする。「いま、営業所に誰もいないから、勝手にやっといて。カギあいてるから」。大島の懐の深さを見せつけられる。スタッフは照明を立て、装飾を整え、粛々と準備をする。ファーストシーン、穏やかに、撮れた。
午後になると雨が弱まり、屋外の撮影を強行することに。しかし依然、強風が吹き荒れる。俳優の髪の毛がボサボサに乱れまくり、ヘアメイク担当のMさんが真っ青な顔をしている。小道具が吹き飛ばされ、スタッフが走り回る。テープと石で固定するも、また吹き飛ばされる。
映画の脚本と、カメラの前の現実が相反する時、どちらに寄り添ったらいいのか。おそらく、現実のはずなのだが、脚本というのはなかなかそれを許してくれない。例えば、前後の繋がりや、物語の整合性などを突きつけてくる。だからスタッフやキャストは脚本を成立させようと必死に労働をする。だけれど、脚本に縛られて、現実を捻じ曲げて撮ったようなカットというのは、得てしてつまらなくなるものだ。思い切って脚本を捨ててしまえたらいいのに、といつも思う。
結局、雨がまた降り出し、撮影は中断。後日に仕切り直しとなった。撮影初日、撮れたのは2カット。うち1カットは撮り直し確定。スタッフはくたくたになって、宿舎に戻った。