過去公演紹介『泥酔した都
vol. 10 2019-03-19 0
過去公演紹介
『泥酔した都』
劇団FAX2回目の、『贋作・蟹工船』以来の自作長編作品でした。ここら辺からお客さんも増えだして、今までのところ、劇団FAXの代表作っぽくなっている作品です。
ストーリーは、神の声が聞こえる少女・つばめと、つばめのことを思う白痴の男・コウシャクの恋愛譚です。つばめは神様のお告げの通り都に出て帝に会いますが、帝の叔父クロウトの陰謀に利用され、最終的には都の人たちに魔女とののしられ火あぶりにされます。
つばめが火あぶりにされるシーン。赤い布を火に見立てている。
ここまで読んでお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、『泥酔した都』はジャンヌ・ダルクの人生を追うようにつくられています。これを思いついたとき玉井はいい作品が書けそうだと思って奥殿に「次の作品はジャンヌ・ダルクを題材にしようと思う」と張り切っていってみたら「ジャンヌ・ダルクって誰? 男?」って言われました。「有名じゃないの? ジャンヌ・ダルク」みんなが当然知っているものだと思っていた玉井は衝撃を受けました。みなさんはジャンヌ・ダルクご存知でしょうか。ちなみに女の子です。
ジャンヌ・ダルクを題材にした作品は、古くから多くあり、この作品はその中でも特にバーナード・ショー『聖女ジョウン』という作品をもとにしています。この作品は、当時の社会情勢や、宗教的文化背景などが色濃く、我々だと体感としてわからないことが多かったので、かなりアレンジは行っています。
また他には、ドストエフスキー『白痴』、シェイクスピア『ハムレット』を参考にしています。
おそらく誰も気が付かなかったと思いますが、帝の叔父のクロウトさんのもとは、『ハムレット』のクロ―ディアスなのです。クロ―ディアス、クロ―ディアス、、、、クロウト。まぁ、そんなもんです。
ちなみに玉井は大体タイトルから先に決めることが多く、この作品も例外ではありません。『泥酔した都』というタイトルだけまず決まって、そのあと中身を考えていく感じでした。結構『泥酔した都』感のある作品になったのではないかと思っています。