「(仮)の事情」初日を迎えて
vol. 25 2015-09-17 0
「(仮)の事情」、いよいよ初日です。
9/15
前夜、最後の稽古が終わってから、稽古場で使っていた小道具や衣装その他たくさんの荷物を全部車に積み込んで、稽古場を片付け、掃除をして退出、1ヶ月の稽古期間の殆どを過ごした水天宮ピットを後にして、稽古打ち上げ。
稽古場に来ていない制作部はその間にも当日配布のパンフレットを作成したり、劇場で使う制作道具を発送したり、チケットの販売状況を確認したり、劇場入りに備えた最後の準備をしていました。
翌日は劇場に材料を運び込んでの、舞台作り。
舞台を組み上げ、照明の灯体や音響のスピーカーを吊るし、美術セットを作ったり、楽屋を作ったりと初日に向けて一気にたくさんのものを作り上げていきます。
重たい材料を劇場に搬入するので、大勢の人が手伝いに来てくれます。
稽古場付きの岩塚くんルポにもありましたが、皆さんがお芝居を観るときの劇場は毎回毎回公演ごとにその公演のために作られた空間で、普段の劇場はそっけないがらんどうです。
何もない空間に少しずつ舞台が組み上がっていき、照明が入る瞬間は、何度経験してもわくわくします。
舞台がどんどん作られていく傍ら、制作部はスタッフの皆さんの賄いメシ作り。
昼の炊き出しはカレーでした。
劇場近くのスーパーで大量の食材を買い込んで、劇場内で作ります。
手が空いた人たちがバラバラな時間に食事をするので、どこの劇場でも手早く食べられるカレーライスが定番。
担当する側も責任重大で、仕込み日の制作部は、何をさしおいてもスタッフの食事を用意することが一番重要な業務になります。
照明の吊り込みが終わる頃に、演出家が劇場入り。
「シュート」「シューティング」といって、一度吊るしてしまうと、なかなかすぐには直せない照明の当たり具合を確認しながら、灯体の位置を確認していきます。
明日になると、役者が劇場入りして舞台に立ち、舞台セットの塩梅や照明や音響のタイミング、衣装・小道具の出し入れなどを確認していく「場当たり」があります。
「キッカケ」と呼ばれるタイミング合わせが多いほど場当たりは細かくなるので、丸一日かけてやることになります。
合間に夜の炊き出し。食材を使いまわして麻婆丼を作りました。
手の空いた人がわずかな隙を縫って食べに来るので丼ものが楽なのです。
もちろん、劇場付きのスタッフさんにも食べて戴きます。
「うちのコヤでこんなに美味しいものが作れるなんて!」と喜んでくださいました。
食事休憩を取るスタッフさんがいる一方、まだまだ作業中のスタッフさんもいます。
照明チームはぎりぎりまでフル稼働、退出時間が決まっているので、作業は時間内に終わらせて、管理者である舞台監督と制作が劇場付きのスタッフさんと場内を確認し、劇場入り1日目はここで終了。
2日目には場当たり稽古といって、明かりや音のきっかけを確認する稽古です。
9/16
正午から場当たり稽古があるので、制作部は前日同様10時に劇場入り、
まずは賄い炊き出し用のご飯を一升炊いて、食事の用意。
開始時間前に到着したスタッフさんに食事をしてもらい、その後は手の空いた人が随時食事をするので、数人分の丼ものを用意し、後から食事をする人たちにはおにぎりと豚汁と惣菜コロッケ。
舞台では照明さんが昨日の作業の続きをしたり舞台監督が細かい修正作業をします。
昼前に演出家や役者が揃って、稽古の準備。
音響や照明や道具の確認だけでなく、芝居の塩梅も視ることになり、たっぷり時間をかけて細かく進めていきます。
全員が揃って食事休憩を取ることがないので、この日も台所はフル稼働、ちょいちょい挟まれる5分10分の休憩でおにぎりを頬張ったりしながら、予定の時間内に終えました。
調整と準備の時間を挟んで、今度は通し稽古です。
稽古場での稽古と違ってすべて本番通り、どんなミスがあってもノンストップで通します。
本番では台詞をど忘れしても助け舟なし、舞台上でトラブルがあっても役者が芝居の中で対応していくので、その為の稽古ともいえます。
劇場での稽古は、トラブルがあった方が、防止策や対策を考えることができます。
この稽古には、カメラマンが入って舞台写真の撮影をしました。
この時の写真が厳選されて、特典にあるフォト台本の舞台写真になります。
その間、制作部は関係者のチラシの折込をしたり、炊き出しの対応をしたりしていますが、原則、舞台上で芝居が進行している間は、皆息を潜めて見守っています。
通し稽古が終わると、制作部で客席づくり。
通常は初日の直前にやるのですが、当日のバタバタを予想して今回は早めにやっておきました。
開演3時間前まで予約を受け付けているので、客席数がぎりぎりまで読めないためです。
劇場付きさんに客席の組み方や椅子の使い方を教わりながら、常設の席数を決めます。
今回は68が常設の席数。
前売りの伸びが良ければ席を増やし、前売り予約が少ない場合には席を減らします。
2日目はこれでおしまい。
この日も事故なく予定通りに進みました。
9/17
いよいよ初日を迎えます。
わたしたちは本番前に「ゲネプロ」。
全員が本番と全く同じことをやる時間になります。
前日の通し稽古と違うのは「稽古」と呼ばないこと。
つまりお客様のいない本番です。
ゲネプロが終わったら、ちょっと休憩してすぐに本番の準備。
初日の開演は20時と遅めに設定していますが、お仕事帰りにご来場戴ける時間なので、今のところ初日が一番予約数を多く戴いています。
カルチベートチケットも2枚発行することにしました。
どんな方がカルチベートチケットでご来場下さるのか、初めての試みなので楽しみです。
初日にたくさんのお客様が来て下さるのは、演劇公演として本当に有り難いことです。
芝居の出来が良ければ、千秋楽までの間に口コミで新規のご予約が増える可能性があります。
なので、公演の日程が進むにつれ、予約がいっぱいになる可能性もございます。
席数68の小さな劇場です。満席の場合には、生憎ながらご入場をお断りすることになります。
消防法によって、立ち見などができません。
ご予定がお決まりでしたらどうぞお早めにご予約ください。
ご予約は、公演当日でも開演3時間前まで承っています。
また、カルチベートチケットの発行は、前日にtwitter及びFacebookの公式アカウントにて告知しております。
全力で作り上げた芝居です。
どうか皆様にお足運び戴きたく、心からご来場をお待ちしております。
アンファンテリブル 代表 前川麻子