【取材報告】現代アートチーム目 [mé] の展示「非常にはっきりとわからない」
vol. 46 2019-11-18 0
【取材報告】カテゴリでは、アートプロジェクトラボのメンバーが取材・参加したアートプロジェクト・イベントの様子をクラウドファンディングや本の制作とは直接関係がないものも含めて、ご紹介していきます。
7月に「まさゆめ」プロジェクトの取材記事もご紹介している目 [mé]の個展がはじまっています。クラウドファンディングを通してプロジェクトメンバーに加わった加藤によるレポートをお届けします。
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実は、初めてなんです、千葉市美術館。外観もおしゃれですね。
中央区役所との複合施設として設計・建築され、7・8階が美術館になっています。昭和2年に建てられた旧川崎銀行千葉支店の建物を保存・修復、その戦前の建物を包み込むように建てられています。
天井が高い! 銀行だった部分は「さや堂ホール」と呼ばれ、コンサートなどにも利用されています。円柱が立派で重厚感があります。
11月2日、現代アートチーム「目 [mé]」の展示がこの千葉市美術館でスタートしました。目は2012年に現代美術家の荒神明香さんと表現活動集団wah document(南川憲二さん、増井宏文さん)によって結成されました。アートプロジェクトラボでは、以下のような取材記事もあります。
展示の観覧と作家の囲み取材がセットになった、メディア関係者向け「記者レクチャー」も行われていましたが、ネタバレがNGすぎて、記者さんたちが書けることはほとんどなさそう…。
記者に囲まれる目のみなさん。質問に対してほとんどが「すみません!」「さあどうでしょう!」「言えないんです…」の繰り返し。南川さんのペコリばかりを目撃した数十分間でした。
では、できる範囲でレポートしてまいりましょう。
千葉市美術館の建物は現在改装中。中央区役所が移転し、全館が美術館になるのだそう。
通常は8Fが美術館入口なのですが、現在は臨時で1Fが受付。ごあいさつもこんなかんじ。
ロッカーも臨時だし、全体的に養生が行き届いています。改装中ですからね。
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ここから先は、ネタバレ禁止のため、写真も内容チラ見せもNGです。展示についてレポートできないのでキーワードだけ。
①チバニアン ②わからない ③美術館
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① チバニアン
「チバニアン」は千葉県市原市にある「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」(国の天然記念物)。展示の構想時に目の3人で行った場所。「そこには、77 万年前に起こった地磁気の逆転をしめす地層がありました。わたしたちはいま、その地層の積み重ねのうえに立っています。地球のダイアリーともいえる地層から見ると、まるで何事も無いような日常の地表の上に立っているわたしたちは、とても不可解なものにも思えます。」(※千葉市美術館ニュース「C'n」92号、南川憲二コメントより)
市原市の動画が分かりやすいので貼っておきます。
地層はパネルなどで解説が掲示されています。そこで目のみなさんは「キャプションを見て土の肌の見方を変えている自分たち」に気付いたそうです。この体験は、次のキーワード「わからない」につながります。
②わからない
タイトルの「非常にはっきりとわからない」は、荒神さんの考えを言語化したものだそうです。「本当は、一秒先すら何が起こるかわからない世界を私たちは生きている。」「昨日まで太陽の公転軌道を回っていた地球が、明日はどうなるかは実は誰にもわからない。」(※)という荒神さんのの言葉を逆に言えば、
「わからない」ということだけが、とてもはっきりと「わかっている」(※)
ということ。
展覧会はタイトルどおり、千葉市美術館の空間全体をひとつのインスタレーション作品として
「わからない」を感じ、「わからない」がわかるかもしれない、「現実の世界をもう一度捉えなおす機会」を提供しています。
③美術館
目の今回の展示は千葉市美術館ならではの構造と、特徴的な建築をいかして、展開されます。
「美術館の展示では多くの場合、作品名や作家名、制作年、調査報告などを示して、「わからない」を解きほぐすことがあると思います。しかし、「非常にはっきりとわからない」展では、知識や情報を極力なくし、みなさんの主体性によって作品が現れるような展覧会づくりに挑戦したいと思っています。」「展示空間の中で目にする全てを疑い、信じ、考察する。」「わたしたちの現実の世界をもう一度捉えなおすような機会になればと思っています。」(※)
千葉市美術館が改装中という現状も作品作りにインスピレーションをもたらしたのかもしれませんね。それはそうと、美術館の協力体制が素晴らしくて「今までで一番!」と繰り返し目のみなさんが口にしていました。担当学芸員さんはじめ、美術館のみなさんの愛も、現場できっと感じられると思います。今までにない美術館空間をぜひご自分の目と肌で感じていただけたらと思います。
【目 非常にはっきりとわからない】
会期:2019年11月2日(土)~12月28日(日)
会場:千葉市美術館(千葉市中央区中央3丁目10-8)
EDIT LOCAL LABORATORY 加藤みのり
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