『絶対にひとりにしない』
vol. 23 2023-03-25 0
2021年春に脳転移が発覚した母。
言語や身体の障がいは徐々に進行し、夏ごろからは通院も困難になりました。
母自身は「治療をやめる選択肢はない」「入院も絶対にしない」と言っていましたが、急変・急死の可能性もあり、最期をどう迎えるか、24時間切れ目なく支えるためにどうするか、ということを考えなくてはなりませんでした。
母の意思を尊重し、通院は継続しながら訪問診療を受けることにしました。
面談の日、先生にどのように話をしよう、母にどのようにそれを伝えよう、ということで頭がいっぱいでした。面談の時間に合わせて、焦って家を出たわたし。
そのとき、ベッドから「いってらっしゃい」と声をかけてくれたのが、わたしが聞いた母の最後の声でした。
面談では、先生がとても優しく対応して下さり、「急いだほうが良いね」と最短での訪問を決めて下さいました。
クリニックは自宅からすぐの場所。母にどう伝えよう、と考えがまとまらないうちに家に着いてしまいました。わたしの目に飛び込んできたのは床に倒れていた母の姿。救急車を呼んで緊急入院。
「ひとりにしてしまった」
わたしがそう思ってしまうと、他の家族にも同じ思いをさせることになります。
あのとき、誰かが一緒にいても、状況は変わらなかったとわかっています。
だからこれは、後悔ではありません。
『ともに暮らし支える』
その根底にあるのは『絶対にひとりにしない』という、わたしの強い願いです。