震災から14年 “愛子さん”のこと ⑥震災は終わっていない
vol. 11 2024-12-26 0
震災は、終わっていない。
津波で凍った心は、癒えていない。
私たちにはそれが見えない。
ひとり暮らしの人の気持ちは、本当に見えない。
被災すると、状況がどんどん変わって複雑になる。
家を流されて何も無くなった。
避難所から仮設住宅、そして復興住宅へと住まいが変わる。
環境が全く変わり、人付き合いも一変する。
その都度、リセットされてしまう。
心の重荷がどんどん増えていく。そして病んでいく。
ひとりでどうする?
誰かに相談できる?
人は、そんなに簡単に不安や辛さを他人には言えない。
気持ちを知る事は、むつかしいのだ。
避難所で愛子さんは、「私は、ハラワタ曝け出します!」と声をかけて、みんなを明るくした。「私は妖怪だから。大丈夫だから。」と独特な言葉を使った。
自ら明るく振る舞った。
でもそれは、我慢している言葉だったのではないか。
思いを吐露できない裏返しの言葉。
愛子さんだけではない。
多くの方が抱えている。
震災だけの話でもない。
益々増えていくひとり暮らしの高齢者。
個人の問題ではなく社会の構造の問題だと思った。
私たちは、気づこうとしていない。
何事もなかったかのように震災後を生きている。
まだ震災は終わっていない。
この映画が、少しでも震災を知るきっかけになればと願っている。