旅すること
vol. 19 2025-09-05 0
お陰様で、帰国してから構想していた「リトアニア模様」の図案が出来てきました。これから配色を考えて制作に移ります。
↑縦長のパネルが6枚横に繋がります。
日常を離れて旅をする間、仕事や家族・親族のケアから物理的に離れられることの尊さは、日々それらに翻弄されている皆さんにも、容易に想像出来ると思います。
その一方「いま、旅をするなんて、絶対に無理。わたしの代わりは誰がするの?」という声が、悲しいかな、あちこちから聞こえてきます。
リトアニアで出会ったアーティストAさんは、アルツハイマーを患う80代後半の母親の介護と、美術教師の仕事で毎日へとへと。細切れの空き時間で制作をされています。そんなAさんでも、去年は展覧会に参加するために1ヶ月間日本に滞在しました。ヘルパーさんに頼んだ母親の様子は気になるけど、仮に母親が倒れたとしても、「日本に居る今はどうすることも出来ない」と諦められる、と言っていました。
同じくリトアニア人アーティストのBさんは、身体障がいのある息子さんがまだ小さい頃、2人で一緒に国外のアーティストインレジデンスに一ヶ月間参加したことを教えてくれました。そんなことが可能なのか、と呆気に取られている私。Bさんは「息子もそうすることを楽しんでいたし、自分の子供なのだから自分で決めて良いのよ」と言葉を継ぎました。今では大きくなった息子のケアはヘルパーさんに頼りながら、より一層リトアニア国外での活動を広げられているそうです。
アーティストは経済的に豊かではないことが多く、お金の心配は尽きませんが、その一方で作品は作りたいという、不器用な割に欲深い人間だと思います。
皆さんのご支援のお陰で、リトアニアで1ヶ月ものあいだ、美しい自然の景色やおもしろいものを見ながら新しいアイデアを考える時間を持つことが出来ました。財布の中身をほとんど心配せずに。そのことが、どんなに癒しになったことでしょう。
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明後日7日(日)まで、渋谷駅から直結の渋谷ヒカリエ8階にあるBunkamura Gallery 8/で開催されている展覧会に小さなパネル作品3点を展示しています。(ヒカリエの8階って、ひねりの効いたお店が揃っていて、つい何か買ってしまいます)
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