ヨーロッパ・パークをダリアさんと散歩した日
vol. 16 2025-08-16 0
写真は、ビリニュスから約30分、ダリアさんの運転で連れて行ってもらった野外美術館ヨーロッパ・パークでの一枚。
「Space of Unknown Growth」というこの作品は、ポーランドの彫刻家、マグダレーナ・アバカノヴィッチの作品です。これ、コンクリートで人工的に作った石なのです。
到着したのは19時でしたがこの明るさで、2時間ほど公園内を散歩しました。
忙しいのに付き合ってもらってすみませんねぇ、とお礼を言うと、ゲストを案内するために出かけられるのは私もありがたいのよ、とダリアさん。「そうでもないと、職場と家の往復で日々が過ぎて行くからね」とのこと。
ヨーロッパ・パークは、1989年にフランス地理院がヨーロッパの中心がヴィリニュスから北方約26kmにある、と定めたことをきっかけに、彫刻家ギンタラス氏が計画を始めました。ヨーロッパの中心に、自然と芸術が調和した野外美術館を作ることを志したらしいです。国からは補助を受けない私設の芸術公園で、賛同した世界中のアーティストの彫刻が100以上設置されています。
↑創設者ギンタラス氏の作品「The Place」とダリアさん
ギンタラス氏はダリアさんと同世代で、面識もあるとのこと。ヨーロッパ・パークがオープンした頃、ダリアさんもギンタラス氏も、美術大学を卒業したばかり。
あのときは、芸術で社会を良くしようっていう、楽観的でいい時代だったわぁ・・・と遠い目をするダリアさん。ダリアさんも、アートスクール(今の勤め先ではないところ)を新設するのに奔走したそうです。「だってアートはとても大事だからね」と云うつぶやきから、当時の熱量が伝わります。
もちろんリトアニアでも、隙あらば芸術の予算は削減されるので、現在ダリアさんが校長を務めているビリニュスのアートスクールも度々危うい目にあった、と教えてくれました。「私はそういう時に強く闘うことはできるんだけど、自分の作品を強くアピールするのは苦手なのよねぇ、、」と苦笑いするダリアさん。
「ビリニュスにも商業的なギャラリーがいくつか出来たけど、そういうギャラリーは若いアーティストを欲しがるでしょう?」と言われて、答えを探すわたし。「(希望に溢れる積極的な若いアーティストとは違って、)私はいつもunhappyでsadなのよ」と自虐的に微笑むダリアさん。まさしく、unhappyでsadというのが、私がダリアさんに初めて日本で会った時の第一印象だったので、2人で笑ってしまいました。
そんなダリアさんの個展がビリニュスのギャラリーTitanikasで始まっています。(写真は全てギャラリーfacebookより拝借)
「今回の個展は初めての取り組みばかりで心配だし、たぶん失敗すると思う。でもちょうど夏休み期間だから、その目撃者が少ないのは幸運だわ。」と言っていた皮肉屋のダリアさん。
残念ながらたくさんお客さんが来てくれましたね!と皮肉を込めて声をかけたいです。
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