製作日記10『留学を考えている中高生へ』
vol. 10 2018-09-23 0
どうも。プロデューサーの小澤です。
ZOZOの前澤社長の月旅行プロジェクトの会見見ましたか?アーティストを連れて、月を周り、それにインスパイアされた作品を作ってもらうというアートプロジェクト。それを全部スポンサーするってんだからとんでもないエンジェルインベスターっぷりですね。そして何よりそれがそのまま世界進出を目指すZOZOの宣伝になるという戦略家。いいなあ月旅行。私が生きている間に月旅行の価格がお手頃になるのを願うことしかできません。
さて本日は、無事チャップマン大学の映画学部に編入することができた私が、実際にどんなことを学んできたのかご紹介しましょう。果たしてわざわざアメリカまできて映画を学ぶ価値があるのか......
という記事を書くはずでした。ところが前置きの留学前の話を書いていたら、思っていたことがどんどんと吹き出してきて、全く違う記事になりました。留学を考えているけど不安、周りに止められるという中高生、そして過去の自分に向けた記事になってしまいました。すみません。興味のある方だけどうぞ。次回以降に映画を学ぶことについて書きます。
まず、私がそもそもなぜ日本ではなくアメリカで映画を学ぼうと思ったのか。それははっきりいって超単純で、映画といったらハリウッドだろ。それだけです。そもそもスターウォーズの超絶ファンで、SF映画が最も好きな私にとって、ハリウッドがそのメッカであることに間違いはないのです。
実は私がアメリカに留学を決意した際に様々な方々にご相談をさせていただきました。もちろん背中を押してくれる方もおりました(ムルシエラゴの平澤さん、高田牧舎の藤田さんありがとうございます)が、厳しい意見をいただくことの方が多かったです。
特にとある方には、ただアメリカにいけばどうにかなると思ってるやつは甘いし、留学して結局何も学ばずにかえってくる日本人をたくさん見てきた。本当に映画を作りたいなら環境に関係なく日本でやってるはずだし、日本でも学ぶ環境は整っている、いままで何もしてこなかったやつがいきなりアメリカにいくとかちゃんちゃらおかしい、今の立場や就活から逃げてるだけだ、なめんなよ的な意見をいただくこともありました。
大変ごもっともなご意見、ぐうのねも出ません。当時の私にはリバーブローを食らったかのような意見でした。
ただ、否定的な意見をおっしゃってくれる方々が、実際にアメリカに留学し映画を学んだわけではないのです。あくまでその意見はその方が見てきた留学生の印象でアドバイスをくれているだけなのです。私が何を言いたいかというと、結果から言えば、こっちにきて大正解でした。こっちだからこそ学べるものがたくさんあったからです。詳しくは次回以降に書きます。
もしこれを読んでいる中高生の中に、留学したいけど、先生に止められるとか、日本の大学を出てからでもいいと言われるとか、否定的な意見をもらって悩んでいる方がいれば、一言言いたい。そんな意見はクソ喰らえだと。たとえその留学がうまくいかなかったとしても、留学は自分に向いていなかった、挑戦したけど日本の方がよかったんだという経験が自分の中に残るのです。
もし、留学が怖いと思ってやめてしまえば、ずーっと留学すればよかったな、したらどうだったんだろうという後悔しか残りません。もし留学がしたくて、することができる環境であるならば(私はとても運良く留学ができる環境でした)しちゃえばいいのです。もし留学を諦める理由が人からの意見や、不安だけならば、そんなもんに惑わされる必要はいっさいありません。今すぐしましょう。
私が後悔していることといえば、さっさと覚悟を決めて、こっちにくるべきだったということだけです。なんとなく留学は怖い、不安という思いがあり諦めてきましたが、そんなもん意味のない妄想でした。
またまた私個人の話になりますが、私が高校生の時に先生に将来の相談をしたことがありました。確か、文系か理系かを選択する個人面談の時でした。当時理系だった私は、将来映画が学べる所にいってみたいなということから、文系に変えようとして、映画の学部があるところに興味があると先生に打ち明けました。
その時にまず聞かれたのが、じゃあお前はいま映画の脚本を書くとか、映像を撮るとかしているのかという質問でした。
まったくしていないと話すと、映画監督になるやつは今からそういうことをしているやつがなれるんだ。そうもしていないやつが何わけのわからないことをいってるんだ、大人しく理系のまま、いい大学に入れとのことでした。(なんで映画を作ることが特別な才能だと思っている人が多いのだろう。映画を作るにしてもゴマンと役職があり、学べば誰だって作れるのに。)
今なら進学校の先生の立場として、いい大学にいかせることが何より大切だからそんなことを言ったのだとわかります。映画学部がある大学は偏差値が高いところがあまりないからです。進学校としてはただ偏差値が高い、旧帝大に生徒を1人でも多く入れさせたいのです。それが高校の実績になりますから。
しかしそんなのは先生の勝手な立場、なんもわからない1人の高校生が映画に興味を持ってんだから、親身になって映画を学べる方法を一緒に探すのが先生ってもんじゃないのか。と今では思います。そもそも映画を作るにしても様々な職があるわけで、映画=映画監督になることではないのですから。
しかし結局、進学校にいることで、いつの間にか偏差値の高い大学へ進学することが一番大切なことなんだと思うようになっていました。何を学ぶかではなく、どこに入るかを優先するようになっていました。もちろん自分の意思が弱いことも大きな問題ですが。
なんやかんやで早稲田大学の文学部に入ることができましたが、結局自分が本当にやりたいことは映画の製作を学ぶことなので、大学の講義にも本気になることはありません。ただただ周りに流され、なんとなくサークル、飲み会で遊び、バイトをして、3年生になったら就職活動をするという流れに身を任せるだけでした。(実際はその流れにちょいちょい逆らってましたが)
もちろん早稲田大学に入ったおかげでできた人との繋がりはとても大切なものなので、入った後悔はないです。それでも今思うと立命館大学の映画学部や、日本大学の芸術学科、はたまたアメリカに留学を選んでおけば、もっと真剣に勉強し、充実していたのではないかと思います。結局は今映画製作を学んでいるのですから、さっさと高校生の時にその道を選べばよかったと思います。周りの意見や価値観に流されすぎでした。
日本の大学とアメリカの大学両方を見た私からみると、学生の質の差は歴然です。たぶん元々の素質はそうは変わらない、むしろ高校生時点での日本の学生の学力の優秀さは圧倒的に高いと思います。
しかし日本では、いい大学に入ることが最大の目標になってしまい、入った後に勉学に励んでいる学生はごく一部だと思います。一方で、高校まではそんなに勉強のしてこなかったアメリカの学生ですが、大学に入るとめちゃんこ勉強します。なぜなら毎週出される宿題の量が半端じゃないからです。また成績のGPAはもろに将来のキャリアに影響するので、みなAをとることに必死です。とにかく勉強しています。卒業するのも大変です。
また自分の専門を決め、その専門の職に就くことが当たり前なので、皆本当に自分が好きなことを選び、勉強し、その好きなことを仕事にしていきます。やってみて合わなければどんどん違う学校や学部に編入し直します。
マーケティングを学んだ学生はマーケティング職につきますし、経済学部の学生は、銀行や証券会社などを目指します。
日本でいう総合職のような意味のわからない職はありません。文学部を出た人間が銀行の総合職についたり、経済学部を出た人間が、人事部につくなどありえないことです。大学時に勉強してきたことがそのまま血肉となりキャリアを積んでいきます。日本での特に文系学生の曖昧さや新卒一括採用の文化は謎そのものです。医学部に入った人が医者にならずにどこかの経理になったら不思議でしょう?それが文系では当たり前になっています。ちなみにそう思うのもこちらにきて実際に見たからであって、当時日本にいた時は疑問にすら思ってませんでした。
ということで、もし何か自分が学びたいことがあって、留学をしたいと思っている方は、悩まずしちゃえばいいと思います。相談する際は留学経験者に話を聞くべきです。否定的な意見はありがたく受け取りつつ、そっと見えないところで捨ててしまいましょう。否定的な人はあなたの選択に対してなんの責任もとってくれないですし。
そもそも留学に失敗も何もありません。してダメならさっさと日本に帰ればいいだけのこと。1年の遅れなんて全く問題になりません。してみて自分に合うなら続ければいい。とにかく自分の価値観を大切にして選択しましょう。自分の選択に責任をとれるのは自分だけです。
ちなみに(むしろここが本題ですが笑)、私の映画のクラウドファンディングのリターンの一つに留学相談というものを設定してあります。もし私の個人的な体験談や、実際の留学生活についてもっと聞いて見たいという学生の方や、親御さんがいらっしゃいましたらご支援のほどお願いします。真剣にご相談に乗りたいと考えています。
アメリカで映画を学ぶことについては次回以降に。いつも後回しですみません。
小澤 隼