これまでのこと、これからのこと(その3)「こえぐさをさがしよった」
vol. 3 2022-03-15 0
見ていただき、ありがとうございます。
3月11日㈮、筒井良則さんを訪ねた際のようすを掲載します。
ごく普通の日常は、ありがたいことです。
筒井良則さんのお話
「だいぶぬくうなったねぇ」
「前は、こえぐさをさがしよったけんど、やくがかかるき、
もう何年もようしちゃぁせん」
「昔は、向こうの山の上でも、あちこちでカジクサを作りよった。
それぞれの家の近くまで線を張って、滑車でへえしよっとうよ。
その線に引っかかって落ちたヤマドリを拾うたこともある。
鳥が引っかかるばぁ、線があちこちにあっとうよ」
《補足説明》
①「こえぐさをさがす」
肥料になる草。高知県いの町吾北地区では、カヤ(ススキなど)のことを
「肥え草」と呼びます。
さがすは、探すではありません。吾北地区では、畑の作物や土の上に、
「肥え草」をきちんと均等に敷く(かぶせる)ことを「さがす」と言います。
なお、散らかすも「さがす」で、私は小さい頃『それほど物を出し「さがし
て」どうしゆう!はよう片づけちょき!』と、毎日言われておりました。
②「線を張って、滑車でへえしよった」
かつて、山の高いところから低いところへ、空中に数十メートル以上の鉄
の線が張られていました。それへ、楮や肥え草の束などを掛けて、滑車で
家の近くへ飛ばしていました。
(距離や山の地形に応じて、中継箇所が複数ありました。)
この「滑車で飛ばす」ことを、吾北地区では「へえす」と言います。
※高知県の山間部でも「へえす」は、超ローカルな方言の一つです。
③「やくがかかる」=「労力がかかる」「手間がかかる」
④「前は」「昔は」
良則さんの前後のお話から推測して、今回の「前は」は、10年ほど前のようです。
同じく今回の「昔は」は、終戦後=昭和20年代(1945年代)~昭和30年頃のようです。
↑獣害対策の柵を修繕、新設させていただきます。
この日、良則さんは畑へまいた豆の手入れ作業、奥さまは楮の隣に生えた芭蕉を鎌で切る作業をされていました。
ウグイス、ヤマガラ、ヒヨドリ、コジュケイなどの鳴き声、さえずりが聞こえ、日中は風はほとんどなく、穏やかでした。