郵便配達員シュヴァルの理想宮殿
vol. 6 2015-09-22 0
リヨンを後にした8月1日(土)は夏のヴァカンスをとる7月組と8月組の入れ替わりの日だ。フランス全国で交通ラッシュが予想された。パリからすでにかなり南下しているので裏街道を抜けながら混雑をさけスルスルとキャラバン隊は進む。この日はオートプロヴァンス地方に行く途中、郵便配達員シュヴァルさんの作った理想宮を見物するのがメインだ。
フェルディナント・シュヴァルは1836年にドローム県のHAUTERIVES近くの貧しい田舎に生まれた。パン屋の見習いなどをした後オートリブの町に戻ってきた。
31歳で田舎の郵便配達員を始め60歳で引退するまで続いた。43歳の時に奇妙な形の石につまづき、忘れかけていた昔の夢を思い出した。一日40キロを徒歩で郵便物を配達しながら彼の頭の中にはフツフツと想像が広がり、夢の理想宮の建設プランができあがっていった。野菜畑を切り崩して始まった大人の粘土細工は彼が76歳のときに完成し、1890年には地方の絵葉書にもなった。
この理想宮は世界的にもアール・ブリュートの作品例として評価され、文相アンドレ・マルローの擁護もあり1969年にプリミテイブ・アートとして歴史的建造物に指定された。
1930年代彼が死んでまもなく、それまでに訪れたアーティストの多くが彼の偉業を評価した。リストの中にはアンドレ・ブルトン、ピカソ、ブラッサイ、ロベール・ドワノー、ニキ・ドゥ・サンファル、ベルナール・ビュッフェなど日本でも著名な文化人の名前が見える。
今年のルートではぜひ子どもたちにここを見せたかった。一人の普通の人間が、夢を実現するために、こつこつと辛抱強く情熱を燃やし続けるとこんな素敵なことができてしまう、ということを伝えたかったのだ。この種の芸術をフランスではアール・ブリュートと呼ぶ。想像力を駆使しながら築かれた彼の宮殿はディテイルがとても面白い。事務所では訪れる子どもたちに彫刻のイラストが描かれたパンフを配り「このイラストを見つけて!」と子どもたちにゲーム感覚で楽しめる工夫をしていた。早速子どもたちはイラストの彫刻を捜しに散っていった。
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