邦楽ジャーナル田中隆文さんから「残歌」の紹介文が届きました
vol. 10 2024-09-06 0
皆さま
こんばんは。
本日、Eri Liaoは朝一番で飛行機に乗り、残歌のメンバーより一足先にソウル入りしました。
目的は、Seoul Music Weekが世界各地から招聘したデリゲイツとよばれる音楽関係者や、他の国から参加するアーティストと共に、自分達の活動をプレゼンテーションするためです。
Eri Liaoは、流暢な英語で、与えられた5分間の中でしっかりとEri Liao + 残歌の自己紹介を成し遂げました!
そのスピーチの中でも、今回海外遠征を共にする「残歌」への敬意を感じる紹介は、多くの人の関心を集めたことでしょう。
さて、その「残歌」。一度でもお聞きになったことのある方は、奏でる楽曲の美しさ、気迫溢れる演奏は、他に類を見ないと感じていらっしゃると思いますが、この度「残歌」の良き理解者である雑誌「邦楽ジャーナル」の編集長の田中隆文さまが、「残歌」の紹介文を寄せて下さいました。是非、お読みください。
昨年、一昨年の「残歌」全国ツアーを東京で聴く。その卓越した技術と豊かな感性はプロ中のプロを感じさせた。キレの良い変拍子が心躍らせ、やさしいバラードが心和ませる。
リーダーは尺八の岩田卓也だ。
旋律楽器であるから不思議ではないが、岩田が引っ張っているというよりも一流ピアニスト伊藤志宏とギターのファルコンに支えられてその役を担っているといったほうが当たっている。岩田は過去、権威あるコンクールで最優秀賞を受賞しているが、さらにこの「残歌」で鍛えられた。それが尺八の技術と表現力を向上させ、尺八が潜在的に持っている未知の能力を開発した。
岩田は尺八の6つの指孔で12音階をハイテンポで吹きこなす。尺八は倍音操作ができるので、音色に変化を加えながら尺八独特の雑音などを交えて3オクターブ近い音域で音楽を表現する。この尺八が「残歌」を「残歌」たらしめていることは間違いない。独特のサウンドから生まれる独特のメロディーとハーモニー。尺八があるからこそ創り出されるのだろう。このクオリティーとオリジナリティーは世界に通用するはずだ。
岩田は東京藝大を中退している。やりたいことは既存の邦楽界の外にあった。邦楽界の流人ではなくてフリーのミュージシャンとして活動する道を選んで今がある。
昨年取材したとき印象に残った言葉がある。「師範免許とか必要なんですか? 免状にカネを注ぎ込むくらいなら良い楽器買ったほうがいいです」。こういう言葉を発するには相当の覚悟が必要だ。そんな覚悟が「残歌」の音楽を創っている。
邦楽ジャーナル編集長 田中隆文
※昨年のインタビュー記事バックナンバーはこちらから。