パリのアパルトマンとエツツの作品
vol. 7 2016-09-30 0
こんにちは、川内有緒です。
クラウドファンディングも6日間、コレクターは79人、目標の80%に達しました!一同感激しています!あと一息、あと6日間。ぜひお付き合いよろしくお願いします!
さて、今日は、私が持っているえつつの作品の話をします。私が、四年半を過ごしたサンジェルマン・デ・プレのアパルトマンを見つけた時のこと。
パリは、とにかく外国人が気に入ったアパルトマンを見つけるのは至難の技なんです。だいたいが狭くて、汚くて、暗い、またはすごく高くて明らかにボッタクリ。なんでこんな部屋ばっかりなんだ!と最初はびっくりしました。
しかし、ある日、新聞広告でこじんまりと古い部屋を見つけました。ひと目で気に入って申し込み、フランス人オーナーから無事に鍵をもらうと、嬉しくて、嬉しくてすぐにえつつに電話をかけました。
彼女はリヴォリからすぐに遊びに来てくれて、二人で空っぽの寒い部屋の窓から夜のボナパルト通りを眺めながら、「よかったね!」「リヴォリとも近くなったね」「いつでもワインが飲めるね」なんて話しました。
それから二年間経った頃、彼女が「今ねー、あっちゃん(私のこと)のために絵を描いているよ!」と言ってくれました。
ええー! どんな絵なんだろう!
毎日ドキドキしながら待っていると、ついに「できたよ!」と見せてくれたのがこの大きな絵。私のアパルトマンの夜の風景を描いたものでした。
わあ...... !私は、その日のうちにえっちらこっちらと地下鉄に乗って家に運び、すぐに寝室にかけました。毎日この絵を見ながら眠りにつけるのかと想像すると、この上なく幸せでした。
この絵は、本当に私の家の雰囲気をよく表しています。夜になると、こんな風に向かいのアパルトマンからの光が漏れてきて綺麗でした。上の写真には写っていませんが、古いマントルピースもありました。ここで、私は「パリでメシを食う。」を日々書いていたのです。
つい先日、今は東京にあるこの絵を友人(えつつを知らない)に見せたところ、「へえ! えつつさんの絵はもっとカラフルかと思ってた」と言われました。
いや、えつつの絵は多くがとてもカラフルです。色やオブジェが重層的に重なって、独特の雰囲気を生み出しています。
でも、それと同時に、こう言った「夜景」シリーズもあるのです。私はこの夜景シリーズが大好きで、前から一枚だけでも欲しくてうずうずしていました。それを知ってから知らずか、えつつは私に私の家の夜の風景を描いてくれたのでした。今でもこの絵は私の宝ものです。これさえあれば、いつでも私はパリのあの時間に戻っていける。この絵は私がパリで暮らした証そのものなのです。
さて、えつつの絵をここにいくつか紹介しようと思います。解説や解釈はありません。えつつは、どんなことを感じるのかは、見る人に委ねたいとよく言っています。
うん、うん、絵ってそういうものですよね。誰かが評価するからいい絵なのではない。自分がそこで何を思うのか。絵がどう語りかけてくるのか。どんな記憶の風景が立ち上がるのか。それがすべてなのだと思います。