初めての舞台挨拶を想像する
vol. 407 2021-10-29 0
今週は完成披露試写会に向けての上映素材の準備をしていた。
もうすでに会場への納品も完了した。
あとは受付や舞台挨拶についてだろうか。
舞台挨拶は事前に考えるのは難しいかなぁとは思っている。
今、とても難しいのが質問。
手を挙げてもらって映画について質問してもらうという形式。
多くのイベントで発声禁止という状況ではどうなのだろう。
マイクを持っていくにしてもマイクの消毒も必要になる。
今の状況なら気にしない人も多いだろうけれど気にする人もきっといるわけで。
応援してくださった方が集まるのだから問題ないとも思えるのだけれど。
かと言って事前に質問をメモで集めておくのもまだ公開前だから難しい。
なんといってもまだ観ている人がいないのだから。
それは質問をしたい人に難しいお題を無茶ぶりしているようなものだ。
映画と関係ないお題とか、面白質問を考えて!みたいになってしまう。
舞台挨拶については随分と長く考えてきた。
セブンガールズでは初期の頃から毎回反省点を探して次に生かし続けてきた。
映画鑑賞後のお客様のテンションは作品によって違う。
余韻を楽しみたい作品なのか、カンフー映画のようにテンションが高まっているのか。
それだけで舞台挨拶の導入が変わってくる。
最初はそんなこともわからなくて舞台挨拶そのものだけを考えていたと思う。
これは良くないのかとトライ&エラーを続けていた。
よりイベントに近づけたり、トークに振ったり、会場や時期で変え続けた。
何がベストかなんか結局わからないのだけれど、それでもなるべく良い時間にしたい。
当然、お客様によって感想は違うのだけれど良い時間にしたいのは変わらない。
色々と想定してフリートークがベストなのだろうなぁと思っている。
その場でお客様の空気を察して。
関係者のみの初号試写で脚本を読んでいない方が一人だけいたのだけれど。
思えば舞台版を知っていたので結局、初見の反応はわからないままだった。
だから当日の感じがまったくわからない。
まして初見の人が多い状況はどういった感じだろう。
想像もするし想定もするけれど、通常公開すら毎回雰囲気は変わるものだった。
どんな形で感謝を伝えたらいいのだろうなんて考えてしまう。
もうまな板の上に乗せられたかのようなあの感覚はない。
どこかで振り切っている。
完成したのだからジタバタしない。ビクビクしない。緊張もしない。
きっと世の中の多くの作家たちによってそれは違うのだろうと思うけれど。
公開裁判をされているようなものだというのは確かにそうだけれど。
たとえ作品に対する絶対的な自信があっても、受け取る人によって違うのはわかりきっている。
初号試写で出演者たちの顔を見てより勇気をもらってはいるけれど。
その勇気も意外に時間切れというか日々変化したりする。
多分、僕はそういうのに強い方なのかもしれない。
というか、今日までの様々な活動で随分と強くなったのだろうと思う。
人に観ていただくということはそれだけでありがたいことで。
同時に楽しんでいただけるかなぁという不安も当たり前のいつものことで。
そのことで一喜一憂するのも自分の中では普通に存在しているものになった。
二つの間で揺れながら、自分がやれるだけやったのだという場所にいつも着地する。
そして僕は傑作を創ったのだという場所に辿り着く。
辿り着くのに。
上映が終わったその時。
僕はお客様の前にどうやって立つのだろう?
そんなことをやっぱり考える。考えてしまう。
まだ関係者以外は誰も観ていない映画『演者』
そして限られた人しか見ることが出来ない試写会という場所。
そんなプレミアムな場所。
期待をし過ぎるとがっかりすることがあるから大風呂敷は敷かない方が正解というかセオリーなのだけれど。
そんな事すら一切考えないようにしている。
大いに期待してくれて結構。
楽しみに足を運んでくださったらなと思っている。
そんなことを言いながら。
どんな顔をしているだろうなぁと想像する。
いつものことだけれど。
そうやってどんな顔をして皆様の前に立てばいいのか。
完成披露試写会の舞台挨拶について考え始めている。
テーマは「感謝」
内容はフリートーク。
頭がじんじんとしている。
小野寺隆一