画竜点睛
vol. 337 2021-08-20 0
いよいよ完成への一歩一歩を踏み始める。
メインの音楽が届いて来週のカラーグレーディングの日程が決定した。
追加の音楽もすでにお願いをしてある。
そこまで揃えばMAを残すだけだ。
海外映画祭に向けての字幕製作も連絡を取っている。
クレジットや簡単な修正はあるもののいよいよ見えてきた。
このクラウドファンディングを開設してから毎日アップデートを更新している。
今日が337号になった。
つまり去年の今頃はクラウドファンディングの準備をしていた。
初稿を書いていた時期ということだ。
早いのか遅いのかもわからないけれど、あっという間に感じている。
画竜点睛なんていうけれど。
仕上げの段階で作品には魂が宿る。
音楽がのっただけで痺れるというのにそれを超えてくる。
もっと言えば「映画になる」。
少し緊張しているのは全編を観る人が少しずつ増えていくことだ。
音楽の吉田トオルさんに続き、撮影とカラーグレーディングをやってくれる橋本さんも編集された映像を確認できるようになった。
MAが決まればまたそこで全編を送ることになる。
どんなことを感じて何を思うのかと思うとどうしても考えてしまう。
そこで感じたことがそのまま仕上げ作業に繋がっていく。
特別に感想を聞くということは余りないかもしれないけれど。
関係者の感想はまず自分の仕事の感想になることが殆どだ。
俳優部だって自分の芝居の確認が最優先になる。
物語はもう知っているのだし視点が違いすぎる。
むしろ自分に反省していたりする人も多い。
作品の感想はとても聞きにくい。
というよりも、中々、客観的に観ることが出来ないと口にする。
そういう意味では気にしないで良いのだとは思う。
それでも気になる。
どんなことを感じるのだろう?とどうしても。
自分の中には確固としたものがある。
だから何かを言われてもあまりブレることはないだろうとは思う。
面白い意見であれば積極的に取り入れるし、そうでなければ気にしない。
意外とそういう部分は僕はサバサバしてると思うのだけれど。
それでも自分の頭の中を覗き見されているような感覚がある。
完全なる客観的な意見を耳にするのは結局、完成披露試写会になるだろう。
結局、人に観てもらうために創っているのだから、どうということもない。
じゃあなぜそんなことを考えてしまうのだろう。
褒められたいとかそういうことなのか?と考えてみたけどそうでもない。
僕は人に褒められることは実は苦手で、怒られている方がむしろしっくりくる。
しかも褒めるも何もない段階で気になっているのだから。
初稿を書いていたあの頃。
こうして形が出来上がってきて。
それを観る人が一人、また一人と増えていく。
何を感じるかとかすら関係ないのかもしれない。
想像力から生まれた何かが呼吸を始めるダイナミズムを感じているのかもしれない。
夏だっていうのに空が低い日だ。
雲の動きも早い。
龍に眼を書けば飛び立つだろう。
あの空に。
僕の手を離れていくだろう。
魂が宿る日まで続く。
小野寺隆一