満月に届くニホンオオカミの遠吠え
vol. 309 2021-07-23 0
明日は母の誕生日だからケーキを買っていく。
美味しいケーキで良かった。
すぐそばで狙っている猫がまったくやれやれだったけれど。
スチールの砂田さんからの写真の納品が完了した。
納品形式は全て生ファイルのRAW形式で。
場面写真、集合写真など、全てが揃った。
場面写真は数日前にいただいていたから徐々に現像を始めている。
Lightroomのプリセットや自動調整をあてるだけで世界観が変わる。
実際の映画のグレーディング後の方が良いのだろうか。
いや、今、出来ることとしてやっておくのもそれはそれで意義がある。
砂田さんが気に入っている写真を自分で現像したものも数点いただく。
あ、これか!と納得。
僕がチョイスした写真は、砂田さん自身もグッと来ていた写真が多いとメールにあった。
あの現場で何度も話をして、撮影に同行して、移動も同じだった。
そういう中でビジュアル面でも共有している何かが生まれている。
だとしたら、それは本当に美しいことだと思う。
クラウドファンディングのリターンの場面写真は初号試写後に送りたいと思っている。
やっぱりほぼ情報がない中での初号試写の方が良いと思うからだ。
一般的に場面写真を出すのはきっと公開が決まってからになる。
メインビジュアルが最初で、公開直前に場面写真になるだろうか。
もちろん映画祭にエントリーしてどこかに残れば公開することになる。
ただその前にSNSのTOPイメージなどはこっそり更新しておくかもしれない。
物語に直結するような場面写真ではない中で選ぶとは思うのだけれど。
今の映画はすごく宣伝期間が長い。
一年とか半年前から、チラシやポスターを公開して浸透させていく場合もある。
公開する頃には、ああこの映画か!と知名度が高くなっている状況にする。
それを思えばメインビジュアルだけは先に決定しておいても良いのかもしれない。
ホームページやパンフレットでしか使用しない写真などもチョイスしたい。
何も考えずになんでもかんでもInstagramに上げてしまうわけにもいかない。
マイナーな小さな映画だ。
メジャーな宣伝方法ではなくゲリラ的な発想力が必要になる。
こんなに力のある写真が揃っていることはなんと心強いことだろう。
そうか。
開幕の日か。
ふむ。
そして明日は満月というわけだ。
今年もニホンオオカミの残党が現れるらしいぜ。
遠吠えに耳を澄ませ。
偽善の時代がやってくると言う文章を読んだ。
僕がこの映画を創る原動力はそれに対抗するためだったはずだ。
思った通りだよ。
僕はあの時代を通してこの時代を描いたのだと改めて確信する。
届くはずだ。
あの遠吠えのように。
小野寺隆一