仕上げ作業の開始
vol. 288 2021-07-02 0
全員公開の金曜日。
朝からバケツをひっくり返したような雨。
気圧の乱高下。首周りから後頭部、肩にかけて重い。
気付けば撮影の日々から一カ月近く経過していた。
映画の仕上げにはいくつかの工程がある。
まずは編集。何はなくても編集が必要。
それが終われば、音楽や効果音、タイトル、エンドクレジットの製作。
仕上がった段階で、MAという音声の仕上げ。
そしてカラーグレーディングという現像に近い最終的な色の仕上げ。
カラーの調整後に多少の加工があれば追加。クレジットの追加など確認。
加工を後にするのは色が確定してからじゃないと不自然になるからだ。
とは言え加工はそれほど多用しないけれど。
出来る限りやらないようにするけれどもう一度編集で最終的な確認や微調整をして。
最後に完パケ作業という流れになる。
それぞれの工程で使用するアプリケーションが変わる。
M.Aはもちろん音声に特化したアプリケーションになる。
カラーグレーディングも色調に特化したアプリケーションになる。
それぞれのアプリケーションにあった形式でデータの書き出しが必要になる。
それぞれそのデータをインポートして、再度、書き出す。
細かい1コマ単位の作業から、延々と書き出しが終わるのを待つというフェーズになる。
一応、自分のスケジュールでは8月に完パケ。完成披露試写会をしたいと思っている。
初号ということになる。
関係者の皆様とクラウドファンディングで完成披露試写会を選んだ皆様のみの試写。
試写会場が丁度よい時期に見つかれば良いのだけれど。出来れば週末なのかな。
完パケ後に同時進行で字幕製作に入る。
完成次第、9月からプレミア規定のかかった海外国際映画祭へのエントリーを開始する。
それを考えればやはり8月完パケは最終ラインになるだろうか。
焦っても仕方がないことだけれど、〆切は必要だと思う。
ゴールは自分で決めることだ。
小さなゴールの向こうに大きなスタートがあるのだから。
現在は音楽待ちの段階で少しでも有効に時間を使えるようにクレジット制作をしていた。
音楽次第で映像の編集点を移動させたりカットを入れ替えたりもしたいと思っている。
エンドクレジットはスクロールにはしない予定だから相当なページ数になる。
クレジットの切り替えは2~4小節ごとか、カットごとになるか。
とりあえず当面は仮で切り替わる形で配置までしておくことにする。
一カ所、クレジットで意図的にやりたい部分があってそこの微調整に苦労している。
後でまた変更になるのはわかっているのだけれど。
この映像はまだ僕と音楽の吉田トオルさんしかこの世の中で観せていない。
だから誰からの感想も一切ない状況なわけで。
確たる自分を持っていないと足元が揺らぎそうになる。
いずれそれが一人二人と増えていく。
完パケまでに何人が目にすることになるだろう。
時々ラッシュを役者が見せてもらったなんてインタビューで観るけれど。
今回はそんな機会もあまりないだろうなぁと思う。
つまり仕上げ作業に入る方だけが確認することになるのか、、、。
観て欲しいなぁと思う人はいるけれど、結局、誰にも観せない気もする。
その時もまだ僕が確固たるものを持っていられるか。
そういう精神的な勝負のような気がしてきた。
揺らぎそうになっても、ブレないだけのものを持っているかどうか。
クレジットの配置が終わったら、シーン写真の選別作業をしておこう。
写真はまだほかにもあるけれど今からやっておけば間違いないはずだ。
写真だって現像作業が待っているのだから早めに選んだ方が良い。
どの写真も素晴らしくて、選べないという嬉しい悩みの中だけれど。
今の時点で作品の本質的な部分はもう出来上がっている。
まるで宝石のようにここからは研磨作業に近い。
削り、研ぎ、磨き、作品になっていく。
カラーグレーディングの時期が決まっている以上、それまでに仕上げないとだ。
着実に一歩ずつ進んでいる。
まだ完成は先だけれど。
完成に向かっている。
小野寺隆一