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映画「セブンガールズ」製作から3年、もう一度下北沢から世界へをクラウドファンディングで実現!

映画「演者」製作プロジェクト┃
映画「セブンガールズ」製作から3年、もう一度下北沢から世界へ

劇団で映画を製作して世界に持っていくという「セブンガールズ」プロジェクトから3年。もう一度、奇跡を起こすために舞台作品を映画化するプロジェクト。ご支援お願いいたします。

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このプロジェクトは、目標金額2,000,000円を達成し、2021年1月15日23:59に終了しました。

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このプロジェクトは、目標金額2,000,000円を達成し、2021年1月15日23:59に終了しました。

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劇団前方公演墳所属、制作、HP管理、チラシデザインなど ショートフィルム企画を劇団で立ち上げる経験あり 他、舞台制作多数 「セブンガールズ映画化実行委員会」を立ち上げる。 映画「演者」の製作を開始する

地図にならない道

vol. 169 2021-03-05 0

ロケ地が確定して準備稿もあがった。
予算枠も固まり、撮影スケジュールも確定した。
中々進まない時期が長かったけれど一歩ずつ一歩ずつここまで来た。
今週になって一気に動いているように見えるけれど。
今、この期間に出来ることを地道に繰り返してきたからだと思う。
動いたのは今週でも、長い耐える時期があったればこそだ。

安心してしまいそうになるけれど、ここからでもある。
まだ確定していないスタッフさんについても考えていかなくちゃいけない。
どこまで自分でやれるのか、どこから人にお願いするのか。
それを考えながらだ。
全部を自分でやれば当然どこかでパンクする。
それでもこの規模であれば、やれるところまでは自分でやるべきだ。

今、最優先なのはそれについてだ。
美術、製作、助監督。
美術はお借りできるロケ地そのままでもほとんど絵になると思う。
けれど、そこに美術的な仕事が入るだけでまるで変わってくることを知っている。
僕たちは美術のデザインをお願いして自分たちでパンパン小屋を建てた経験はある。
けれども、今回はそういうことではなくて内装のセンスだ。それも日本家屋の。
日本家屋は畳一つとっても、全てに意味がある。それをどうするかだ。
製作スタッフは必要になるだろう。
撮影している間に食事の準備を僕は出来ない。
今回は弁当でも自炊でも対応出来る素晴らしいロケ地だけど、そこをどうするか。
逆に移動が少ない分、通常の製作の仕事は半分ぐらいかもしれない。
助監督についても考えている。
自分が出演する時にどうやって進行をするのか。
もちろん、代理をたてて絵を決めて、チェックすればいいのだけれど。
撮影順などを決めるのも、経験はしているけれど重要だよなぁと思っている。

他にもやまほど考えることはある。
稽古場を抑えなくちゃいけない。
衣装や小道具についても考えなくちゃいけない。
スチールやメイキングはどうするのかも考え始めるとクラクラする。
メイクや衣装は劇団では自分たちでやって来たけれど、どこまで出来るだろう。
小道具に関しても、必要不可欠なものをいくつか用意しなくちゃいけない。消えものもある。
稽古場も抑えたいけれど、今のこの感染状況を考えると確定しにくい。
スチール(現場写真)、メイキング映像撮影も、のちのちを考えれば必要に思う。
絶対に自分一人ではできないことだらけだ。
まぁ、かなりのところまではやるのだけれど。

稽古は撮影スケジュールを考えれば最大で2カ月半は出来る。
舞台版の経験からすれば1か月半で十分に固めるところまでは出来ると思う。
舞台と違って止めずに通してやるわけではないということもある。
信頼している仲間で、よくわかっているし舞台の経験もある。
多人数のシーンなど稽古に時間がかかるシーンも限られてる。
ただ稽古量に比例する自信や、質というものも重要。
そして、何よりも皆と顔を合わせることが重要だなと思う。
当初は僕と3人の女優だけで稽古でいいのだけれど。
そこに来て、様子だけでも観たいという人もいるかもしれない。
それは顔を見ることが重要だと感じているからだ。
20年以上、毎週、当たり前のように顔を合わせてきた僕らは。
それがなくなっていることがどういうことが芯の部分で知ってる。
そういう意味でも緊急事態宣言は痛い。

劇団という形態は2021年の今、どんな形になるべきか考えなくちゃいけない。
大きな新劇をはじめとする劇団でも旅営業がほとんど入らなくなっているはずだ。
あの劇団四季がクラウドファンディグをするような状況下はかなり厳しい。
僕は「劇団員」という言葉が社会から時に冷やかしに使われることにいちいち頭に来てた。
その時に使われる「劇団員」というのはいわゆる小劇団のことをさしていると思う。
よくジャージを着て声を出して準備体操をしてなんてシーンをテレビドラマでも見るけど。
そういうシーンはどこか馬鹿にしているなぁと感じることが多い。
まるで学生のクラブ活動の延長かのような空気と、演出家との主従関係みたいなものを描く。
ぜんぜん真実じゃない。
現実に馬鹿にされてしまうような素養がないとは言わないけれど、なめすぎだと思う。
僕たちはテレビドラマや映画の現場をリスペクトしているのになぁとため息が出る。
僕が知る稽古場はあんなものではなくもっとクリエイティブな空間だ。
わずか0.2秒の間をとるとらないで繰り返し稽古をするような緻密な時間だ。
けれど、その稽古をすること自体が、もう贅沢な時代に突入したことを感じる。

僕の感覚では90年代にはもう劇団という形態は形骸化していた。
ほとんどの劇団は客演を呼んで、稽古も本番前だけしかしなくなった。
いわゆる劇団という名前でのプロデュース公演を繰り返すようになった。
その劇団が持つ演劇的背景やイデオロギーは団体から離れていった。
演出家個人や、俳優個人が、それぞれに演技論を持つようになっていったのだと思う。
団体で何か一つのものを時間をかけて作り上げていくという時代じゃなくなった。
ロックバンドのように少人数で劇団を組み、客演で出演者を増やす。
それは少人数でなければ団体の維持が難しくなったということだ。
僕たちは奇跡的にそうじゃなかったけど、同じような劇団はもうほとんどなかった。

今の朝ドラのように、かつては劇場を持っているのが劇団だった。
その後は稽古場を持っているのが劇団になって、やがて稽古場すらなくても劇団を名乗るようになった。
だからそういう意味ではどんどん劇団という言葉の意味が変わっていってる。
90年代ぐらいから「劇団」という言葉を嫌って「演劇集団」と名乗る団体も増えた。
けれど、その演劇集団すら継続していくことが難しくなったんじゃないだろうか。
少人数のプロデュースで、この疫病禍はあまりにもリスクが高過ぎる。
助成金前提での公演や配信を考えるぐらいしか道がない。
今も小劇場は続いているし、頑張って踏ん張って、何かは生まれてる。
そこにどうやって未来の道筋をつけていくのか、どんなビジョンを持つのか。
制限されているということがすでに自由な空間である舞台と矛盾しているのだから難しい。

僕が愛した演劇は「自由」だからこそだ。
そして稽古場で冗談を言って笑いながらも、芯の部分で真剣を研いでいたことだ。
たかが演劇と言えばたかが演劇なのだけれど。
たった一つの笑いを求めて何時間も稽古をするあの時間こそ僕の宝だ。
映画「セブンガールズ」が手にした奇跡は、多くの人が「皆の映画」と感じたことだ。
出演者たちが自分の映画だと感じてそこに立ってる。
それは全員が作品に向かった時間があって、全員で取り組んだからだ。
それを観てくれた多くの人が、自分の映画と感じてくれたのはそこに共鳴したからだと思う。
そういう意味で誰の手柄でもなく、誰のおかげでもない。皆のおかげだ。
劇団が映画を創るという道は確かにここから何かが始まりそうな予感がした。

今、僕がやっていることは多分、そういう道筋の延長にある。
映画製作でありながら、小劇団でやってきた劇団運営や公演準備にとても近い。
そしてあの舞台上の自由を、映像の中にもみつけようとしている。
あの稽古場でのクリエイティブを、もっとわかりやすく提示できる形を探してる。
映画製作の経験なんて薄弱だけど、まるでデジャビュのように感じることばかりだ。
そして映画の世界も、肥大化した商業映画と、ローバジェットに明確に分かれ始めてる。
インディーズムービーの世界は、かつての劇団のような雰囲気を持ってる。
子供がYoutuberになる時代の創作は、きっとこれから生まれてくるもので。
僕はその中で、それとも古き良き、あの頃は、と繰り返すだけのただのロートルになるのか、何もせず歳を重ねるだけになるのか、新しく更にクリエイティブな場所を目指すのか。
そういう岐路に立っているのだと思う。

今から継続した何かを考えるわけじゃないけれど。
これでおしまい!という姿勢でもない。
かといって一発逆転の大博打をうつわけでもない。
僕は僕の道の延長線の上に立って一歩ずつ前に進むだけだ。
誰かに認めてもらいたい承認欲求すら枯れてきた。
ただただ活路があると思える場所をみつけにいく。
何かでごまかしたようなことを続けても、錆びてしまうだけだ。
もっと自由に、もっと自由に、自分の凝り固まった頭を叩く。

これまで多くの先輩たち、名もなき俳優たちが取り組んできた何か。
僕はその力を信じている。
稽古場で生まれてきた小さな奇跡を僕は信じている。
稽古場でそれぞれの俳優が発見し続けたものだ。
伝統と呼べるほどの歴史もないけどさ。
それでも、わずかな視線の移動にまで気を使った稽古を忘れることはない。
10代で初めて、先輩たちの稽古場に行って感動したあの日を忘れることはない。

解体された何かを再構築しているのだと思う。
それはまるで、バラバラになった自分の欠片を集めて回っているようなことだ。
今はハタチを少し出たぐらいで初めて自分で舞台を創った日々を思い出している。
初監督とは違う。
これまでの集大成だ。

今は苦しくとも。
やがてやってくる。
秋の紅葉のように、夕焼け空の真紅のように、消え入る前の蝋燭のように。
漆黒の前に、真っ赤に燃えるさ。

小野寺隆一

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