あと7日! 参加ミュージシャンKayaさんのライブレポートをお届け
vol. 8 2024-02-23 0
今回のアップデートではプロジェクトページにコメントをいただき、またこのモーションギャラリーでのクラウドファンディングを我々にご紹介いただいたKayaさんの2月19日SHIBUYA PLEASERE PLEASUREワンマンのライブレポを、Kayaさんの新たなコメントと共にお届けします!
Kaya オンステージ!
芳醇にして美しいKayaの歌声と、渋味と色香が交錯するJACROTANGS +小林拡史(Dr. / Perc.)による生演奏、そして古き名作映画を思わせるような人生と愛の機微を描いた朗読劇。それらが三つ巴になることで完成する[TOUR renaître -final-]の世界は、今宵SHIBUYA PLEASURE PLEASUREに集った観衆たちの耳と眼と心を、どこまでも深く魅了していくことになったのだった。
2002年にMALICE MIZERのManaがプロデュースするユニット・Schwarz Steinのヴォーカリストとしてシーンに登場して以来、その秀逸な歌唱力と華やかなる存在感をもって唯一無二の表現力を発揮しながら活躍を続けているKayaは、ロックやダンスミュージックといった現代的音楽はもちろんのこと、シャンソンやジャズなどをも艶やかに歌いこなすシンガーとしての顔を持つことでもよく知られている。
そんなKayaが昨年発表した最新アルバム『renaître』は、『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌「残酷な天使のテーゼ」や、昭和末期にチャートを席捲したWinkの「淋しい熱帯魚」など数々の名曲を手掛けきた作詞家・及川眠子氏が、古今のスタンダード曲たちにあらたな日本語詞を書き下ろした画期的作品で、このツアーファイナル自体にも及川氏が全面的にプロデューサーとして携わっていたそう。
また、曲中にはさまれていった朗読劇の脚本については新宿2丁目発のドラァグクイーンによる本格派ディーヴァユニット・八方不美人のエスムラルダ氏が手掛けていたとのことで、この夜はKayaがその物語の中の主人公“リリー”として、楽曲歌唱とともに朗読劇を演じていくことになったのである。
かくして、このツアーファイナルのオープニングを飾ったのは第二次大戦中のドイツで生みだされてからというもの、世界中で長く歌い継がれてきたマスターピースであり、アルバム『renaître』の冒頭を象徴的に飾っていた曲でもある「リリー・マルレーン」。
歌の大好きな少女・リリーが大人の女性へと成長していく物語を、朗読劇と歌でKayaがさまざなま表情をみせていくさまは実にドラマティックで、それはこの[TOUR renaître -final-]を楽しむうえでの醍醐味だったと言っていい。
やがて恋とは違う愛を知るようになったリリーが、幸せの只中で戦争という現実に直面することになり、悲劇に見舞われながらも歌をよすがに生き抜いて行くことを決心するラストシーンは、ひときわ感動的でその場に集った者たちの胸を打つことに。
この公演ではビゼーの歌劇『カルメン』の主要曲「恋(ハバネラ)」、ラテン系ダンスソングとして日本でもヒットした「ランバダ」、はたまた英国のロックレジェンドであるロッド・スチュワートのバラード「It’s Not the Spotlight」、オリジナル曲「あの頃の私は」など多岐にわたる曲たちが歌われたところも大きなポイントで、各曲にあらたな息吹をあたえていくことが出来るシンガー・Kayaの歌唱力には、もはや魔力が備わっていると感じたのは何も筆者だけではないはず。
タンゴジャズグループ・JACROTANGS+小林拡史(Dr./Perc.)の織りなす粋な味わいのバンドサウンドもあいまって、[TOUR renaître -final-]は音楽ライヴの領域を良い意味で逸脱し、時空を超えた劇的世界を生み出すに至っていた。今回の舞台ではKayaがそのタイトルどおりに“renaître』(ルネートル)=「生まれ変わる」を意味する仏語”を、完成度の高い歌とパフォーマンスで体現してみせたことになる。
なお、このたび素晴らしい歌を聴かせてくれたKayaから、近日中に控えているトリビュートアルバム『ISSAY gave life to FLOWERS - A TRIBUTE to DER ZIBET -』のレコーディングに向けたあらたなコメントを本公演のあとにもらうことが出来たので、それもここに掲載しておこう。
「ISSAYさんの歌に、存在に、DER ZIBETさんの音楽に、本当にたくさんのインスピレーションをいただきました。ISSAYさんは今もずっとずっと、憧れの人です。何度かご一緒させていただいた中でも、2023年1月にシャンソンや歌謡曲カヴァーを中心としたアコースティック2MAN LIVEをさせていただいたことは、特に大きく、大切な想い出です。今回のトリビュートではその時の想い出をパッケージしたような作品にしたいと考えております。DER ZIBETメンバー皆さんが、そしてISSAYさんが、「お、いいね」と言ってくださるよう、心込めて全身全霊で歌わせていただきます」(Kaya)
それこそ、Kayaは“renaître』(ルネートル)”の精神を今度のトリビュートアルバム『ISSAY gave life to FLOWERS - A TRIBUTE to DER ZIBET -』でも、さぞかし美しく芳醇な歌声をもって伝えてくれるに違いない。
Text:DZTP(S)
Photo:Mayumi Fukaminato