『子どもの夢は、親の夢』(イキイキスクール)
vol. 28 2014-03-02 0
この連載では、2013年7月に行ったカンボジアでの上映会の様子を、ツアーに参加したメンバーの上村が綴っていきます。
上映会も後半戦。
3校目の上映地に向かいます。
昼食や発電機のガソリンを仕入れにマーケットに行くと、こんな光景が・・・
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タブレットを使ってゲームに夢中になっている子が!
「カンボジアは電化率が低い」というイメージからびっくりされた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、特に都市部の方ではこのような現状もあるのです。
さて、準備を整えて、上映地の村へ向かいます。
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未舗装のでこぼこ道・・・
雨期なので、途中スコールに見舞われたら走行不可になる可能性も充分に考えられました。
が、この日は運良く天候に恵まれました。
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2時間ほどで、目的地に到着。
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こののどかな村の中にあるのは・・・
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3校目、「イキイキスクール」です。
日本人約180人が関わって建設された小学校。
発起人の「かでさん」こと加藤大地さんは、CATiCの1周年記念イベントでもトークをしていただきました。
かでさんは現在、必要な地域における幼稚園の建設に向けて動き出しております。
「1000円×1000人=100万円」という資金の集め方にチャレンジ中。
応援してくださる方、ぜひぜひ!
到着後さっそく、上映準備です。
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ガソリンの入った発電機の重さは尋常ではありません・・・
大人の男性数人掛かりでなんとか運べます。
準備に取りかかると、子ども達がさっそく集まり出します。
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この子達、「ハルのふえ」でどんな表情を観せてくれるでしょうか。
いよいよ、上映開始です!
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ご覧の通り、子ども達だけではなく、お母さん達も観に来てくれました!
それでは、食い入る子ども達の写真をご覧あれ!
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最高の笑顔を観せてくれたのはこの子!
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上映が終わると、前回同様向こうの教室からテーマソングの音色が・・・
教室を移動すると、そこには本物のミュージシャンが!
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「吹いてみたい子!」と聞くと、結構シャイで手を挙げない子ども達(笑)
だけど、ひとたび挑戦するとこの表情。
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ここで、僕らの上映会において通訳を務めて下さっていたサムナンさんから子ども達へメッセージ。
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僕らが宿泊していたのは、彼が運営する「イキイキゲストハウス」です。
お気づきでしょうか?
そうです、ここ「イキイキスクール」と同じ名前です。
サムナンさん、ここの学校建設に関わられた時に大きな感銘を受けたそうで、ゲストハウスの名前を「イキイキ」にしたそうです。
彼自身、過去に色々なご苦労を乗り越えて来た方です。
その中でも夢を追いかけて、今にいたります。
そんな実体験から、子ども達に「夢の大切さ」を真剣に語ります。
真剣な時の目は、子どもでも大人でも素敵ですね。
サムナンさんのメッセージ通り、子ども達は目を瞑り、「ハルのふえ」のテーマソングが再び演奏されました。「今からもう一度テーマソングが流れるよ」
「目を瞑って、夢を描きながら聞いてご覧」
「きっと夢が叶うよ」
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子ども達が大きな夢を描き、その夢を一生懸命追うこと。
言葉だけ聞けば素敵だと思います。
だけど、盲目に「良いこと」だと考えてしまってもいいのでしょうか?
新しい夢を描けば、映画の主人公のパルが音楽家になるために母と別れて森から都会へ出たように、
子ども達も夢を追いかけてこの村を離れていくかもしれません。
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それは、この村にとって「良いこと」と言えるのでしょうか?
そんな迷いから、この日は子ども達だけではなく、その親達にもインタビューをしたのです。
僕らが尋ねたどの親も、答えは同じでした。「子どもが夢を描いて「都会に出たい!」と言い出したら、どうしますか?」
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「それはもちろんさみしくなるけど、それでも子どもの夢を応援したい」
子どもの夢は、親の夢でした。
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色取り取りの道が見えれば、それだけ迷いも生まれます。
だけど、迷ってでも、自分の意志と力で選び取っていくのが人生の醍醐味。
僕はそんな風に思っています。
大学生の時、小学校サッカーチームのコーチを数年間やっていました。
子ども達と触れ合い続ける中で感じたのは、
子どもは、ちゃんと守られながらも、少し背伸びする機会と出会って、体当たりしながら豊かに育っていくということ。
実現可能性云々よりも先に、そんな背伸びした絵を描いてワクワクすることは、心の豊かさにきっと繋がります。
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と同時に、夢を観せた者の責任として、まだまだやれることはあるのではないか・・・
とも感じています。
課題も考えなければいけないことも山積みですが、親達の想いに触れてとても励まされました。
名残惜しさを胸に、村を去ります。
帰り道のこと・・・
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・・・トラックで通れるわけがない(笑)
運転手さんが車から降りると、脇道の池へと進んでいきました。
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どうやら、車が通れるかどうか、深さを確かめているよう・・・
そして、結構深い・・・(笑)
転覆したら大惨事!
とはいえ、行かなければなりません。
「背伸びして、体当たり」と言ったのは、他ならぬ僕ですから・・・
いざ!!!
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車体が横に30度くらい傾きながらも、なんとか抜けました・・・
怖かった・・・
試練を乗り越え、農村地帯を抜けて舗装道路が見えてきます。
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(ちょうど境目)
たくさんの想いに触れ、危機も乗り越え、ぐったりです(笑)
こんな時は、これしかない!
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炎天下での上映後の楽しみです♪
次はいよいよ最後の上映地になります。
2012年11月の第一回上映会でも訪問した「スロラニュ小学校」。
(僕自身は当時まだ団体に入っておらず、その時は訪問しておりません)
「今度はクメール語に吹き替えた映画を持って来る!」
実現可能性も考えず、前回の訪問時に代表が口にした言葉だそうです。
約束は果たしに、いざ。
次回(最終回)、『夢は「仕事」、職業は「知らない」』(スロラニュ小学校)をお送りします。
過去の記事
■第一回:『サンデーちゃんの夢』(一二三日本語教室)
■第二回:『出稼ぎの村、少年の涙』(はちどり小学校)〈前編〉
■第三回:『出稼ぎの村、少年の涙』(はちどり小学校)〈後編〉
■第四回:『子どもの夢は、親の夢』(イキイキスクール)
■最終回:『夢は「仕事」、職業は「知らない」』(スロラニュ小学校)