いつかのベトナム
vol. 1 2020-01-28 0
このプロジェクトをイメージし、具現化していくにあたり、これまで旅してきた土地で感じてきた事の全てが確実に反映されています。
今回はまず「ベトナム 編」を書いてみたいと思います。
福岡空港から飛行機で5時間位、ホーチミンから入国し、統一鉄道という鉄道を使って北上するということだけ決めてスタートした、行き当たりばったりの旅。
着いて早々このバイクの多さに圧倒されながらも、街行く人々の交差点の渡り方を観察しながら歩き始めました。
この光景を初めて見た時は向こう側に渡れる気がしませんでしたが、これが不思議とコツを掴むとスイスイいけるもので、自分でも驚きでした。人生のように、とにかく臆せず飛び込むのみ!
旅は美味しい!
香りに誘われ、食堂に入るとやはりどこも美味しいし、楽しい!店内の雰囲気や設え、香りに至るまで、全身で感じる時間はとても贅沢。
地元民であるであろう街行く人や、常駐されている警備員、警察官に尋ねると、ほぼ外れなく美味しいお店を紹介してくれるし、なんだかんだ楽しいコミュニケーションが図れます!おすすめ!
ベトナムは親切な方も多く、迷いに迷っていたときに出会ったバイク乗りの青年が、メモしていた宿の住所を見せると、後部座席をトントンと叩いて「乗れ」との合図。
突如始まった " 50ccバイクの旅 " に、とても興奮してしまいました。こんな予期せぬ瞬間に、とびきり感動したことを覚えています。一生の思い出。
英語対応の可能なスタッフの方がお休みだったらしく、鉄道のチケットを買うにも一苦労。
何度も並び変えをさせられたりしたのですが、最終的には心を通わせて一件落着。
問題が起きても、ただのしかめっ面では事が悪化したり、全く進まなかったり、、、こんな時もやはり、臆せず進め(笑顔割増)!
そして始まった鉄道の旅。
全く計画を立てていない旅だったので、ご飯も食べられるかわからない車内で困らないようにと、市場にてドライマンゴーとお水を大量に買って乗り込みました。
ベトナムの鉄道は、予想以上に大体定刻に出発していたような気がします。
男も惚れる背中。
映画のようなワンシーンを見せてくれたおじさんは、このままずっと外を眺めていました。
車窓から流れる景色と相まって、素晴らしい旅情を醸していてたおじさんの背中。
そして隣の席はゆで卵おじさん。
ゆで卵15個位黙々と召し上がられていました。
物珍しそうに覗く私を見て、真顔でゆで卵を差し出してくれるおじさんとの旅路はとても気楽で、心地の良い時間でした。
いかにその時間を快適に過ごせるよう、距離感をとったり縮めたり、これもまた旅の醍醐味だなぁと常々思います。
突如、車内に配膳され始めたご飯。
15個もゆで卵を食べていたにも関わらず、戸惑うことなくペロリと平らげていたおじさん…。
本当は一番安価で乗車のできる木造車両に乗ってみたかったのですが、常に予約でいっぱい。
子供たちは鉄道内を元気に走り回り、周囲の大人も楽しげにその様子を笑顔で見守っていて、気持ちの良い時間を過ごせました。
ベトナムに着いて感じたことの一つが、とても綺麗に刈り上げされている男性が多いこと。
なので、思い切って現地でカットしてみたのですが、これがなんと大失敗。
こうして欲しいと提示した写真をちらりと見て、威勢良く「OK!」と言うものの、みるみるうちに違う髪型へ…。
ガシガシ切ってはくれるが、あからさまにハサミの入れ方がおかしいので、度々突っ込むと相手は不機嫌に…。
宿に戻り見てみると、歪でボコボコな髪型になっていました。
言語がまったく通じないからこそ、普段とは全く別のセンサーを張り巡らせコミュニケーションを図ろうとしたり。こういう体験の一つ一つから、生きる力を培ってきた様な気がします。
ボコボコな頭も今にしてみればいい思い出です!
道路の脇が、八百屋さんや魚屋さんや雑貨屋さん、時にはバイクの修理屋さんまで。
街の公共空間を余すことなく活用し、活気を生み出し、彩りを生む。どの街も見飽きることのない街の在り方を見せてくれました。
知らない土地を歩いたり、走ったり、自転車で駆けるのが大好きなので、ベトナムでも宿にチェックインしたらすぐ町中を散策しました。その土地のごくごく日常の風景に一番胸を打たれました。
たまたま行き着いた小さな街で出会った二人。
周りに飲食店もなく立ち寄ってみると、翻訳アプリを使いながら一生懸命説明してくれました。
一人分のメニューがほぼないので、一人ではきっと食べきれない!と訴えてくれる二人の優しさが沁みたので、ここで食べたい!とお願いして、受け入れてもらいました。
すると、本当に多かった。。。
ラム肉をハーブとにんにくで蒸し焼きにしたような料理で半分も食べきれなかったのですが、お腹も心も満たされました。
バイクタクシーのおじさん。
最初はとっても優しい気さくな人だったのですが、お支払い時には体温0。マシーンと化します。
多重人格者なんじゃないかと疑うほどです。
ベトナムではキッチンがないお家も多く、こういう街角の食堂がキッチン代わりなんだと誰かが教えてくれました。
来客する方々の雰囲気から見受けられる店主さんへの信頼は絶大なもので、街のお母さん感漂う彼女のお母さん感を、より醸し出しているのでした。
屋台で豚肉の串焼きを販売していた若い二人。
もちろん美味しかったのですが、二人がとても嬉々と働いており、その姿勢が美しく感じられたので後ろから一枚。こういう人々の存在が街の印象そのものを変えていくのだと思っています。
発展の著しいベトナムという国。
華々しい建造物も多くなりつつある街ですが、素朴で温かみのある人たちが生き、繋いでいる風景は未だ健在で、その風景に寄り添いながら走っている鉄道を、山陰本線に重ねる旅となりました。
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