作品制作についての事 ( 熊谷編 )
vol. 6 2015-12-15 0
こんにちは
熊谷です。
下記は作品を本にまとめるにあたり書いた文章です。
読んで頂けると嬉しいです。
2013年2月、知人を介し富山義則さんに出会いました。
カメラの話で大いに盛り上がり、富山さんが持っている8x10のポラロイドフィルム
「約100枚の半分を使い一緒に作品を作りませんかと」お誘いがあり快諾しました。
テストを兼ね、同年5月から高円寺で撮影を開始しました。
とっくに賞味期限を過ぎているフィルムの為、カラーバランス、感度、コントラストの乱れ
現像ムラもおびただしく光のバランスを見つけるのに苦労しました。
とは言っても、撮影後ただちに現像し現れる8x10イメージは現像ムラまでもが魅力的で心を奪われました。
撮影を重ね次々現れる新しいイメージを見ながら2014年の夏まで高円寺の路地裏に光を求め歩きました。
今回の作品のベースにあるのは自身が2011年から制作を始めた『EACH LITTLE THING 』
シリーズです。
普段は35㎜ネガカラーで撮り、ほぼ全てを縦位置写真で構成しています。
物理的に撮影方法はかなり異なりますが、この感覚をどうしても8x10ポラロイドでやってみたかったのです。
結果として8X10でも同様に、街を歩き、気になる光景に出合ったらカメラをセット、
歪みをアオリで調整しシャッターを切りました。
感覚的にもスナップショットに近い感じで撮影し終える事ができました。
撮影した46枚のムラだらけのポラロイドを眺め、
タイトルは「時間のための時間」がふさわしいと思いました。
写っているイメージは先ほどまで撮影していた風景とは程遠いほど古めかしく、いつ撮影したものなのかもあやふやになり、まるで記憶の奥底にあるような錯覚さえおこしました。
今、流れている時間も写すことで「時間を超えた新たな時間が流れ出す」そんな思いでこのタイトルをつけました。